あなたこなたです。
鍼灸専門学校の学生という立場から、
今回は鍼灸の話題を。
皆さんは鍼灸治療を受けたことがありますか?
鍼灸治療には幅広い治療法があります。
中国、韓国、日本とそれぞれにも違いがありますし、
日本の中でもたくさんの流派があります。
その中には子供向けの治療法もあります。
日本では小児鍼(しょうにはり/しょうにしん)
中国では小児推拿(しょうにすいな)
といわれています。
小児鍼の紹介
図1.小児針法より引用
小児鍼は関西、特に大阪で盛んでした。
記録では1700年代(江戸時代中期)
には治療を受けている人がいたようです。
そこから1920年代以降(昭和初期)
には大阪では多くの人が普段から
治療を受ける習慣があったみたいです。
小児鍼にもいくつか流派がありますが、
いまではアメリカやドイツで指導している流派もあります。
施術出来るのは生後1カ月から18歳前後までで
やり方は刺さない鍼を用いて、
皮膚刺激で症状を良くしていきます。
なので、痛い、怖いという気持ちはあまり感じないと思います。
治療されている様子は写真の様な感じです。
改善される症状としては小児神経症の一種、夜泣き、夜尿症
小児喘息、アトピー性皮膚炎、チック症、吃音、中耳炎、蓄膿症
など幅広く、現在も新しく治せたという報告がたくさんが出てきています。
知っておきたい良い先生の条件
小児鍼の良い先生は子供本人だけでなく、
子供とよく接する大人へもすごく気を配ります。
周囲の大人へのケアが子供に対してよりよい環境
となることを知っているからです。
良い小児鍼の先生には穏やかな雰囲気が漂い、
治療を受けた子供は徐々に落ち着き、笑顔になり、
好んで治療を受けるようになります。
小児推拿の紹介
図2.小児実用按摩保険図説より引用
小児推拿は中国式ベビーマッサージ
のようなものです。
中医学の理論に基づいた治療法の一つとして、
いろいろな症状に対して使われています。
図2のイラストは背骨を上から下へさすっている
テクニックです。
すでに約2800年前の書物には
治療法が載っていたそうです。
いまでも中国の大学病院では小児推拿科があり、
専門的に治療を行っています。
改善できる症状は下痢、腹痛、嘔吐、厭食、便秘、脱肛
風邪、喘息、夜尿、夜泣き、湿疹など
こちらも幅広く使われています。
簡単なテクニックならすぐ出来るので
日本の先生の中には大人の方へテクニックを教えているる
方もいます。
私の経験
私は小さい頃かんしゃく持ちでした。
理由もわからずイライラ、ドギマギして
自分を落ち着けることに苦労していました。
学校では鉛筆の柄の方をガリガリ噛んだり、
自分の太ももを必死に握って
気持ちを落ち着かせようとしていました。
友達を傷つけておきながら、
怒られたら家のトイレに閉じこもったり
したこともありました。
自分の精神的ストレスへの対処法
がわからなかったのです。
もし当時、周りに小児療法を出来る大人がいたら、
私はもう少しうまくイライラと付き合え、
一日一日がすごしやすくなっていたかもしれません。
大学時代に一対一の塾講師をしていた時、
かんしゃくを起こしやすい小学生の子供
を受け持ちました。
練習問題を1問間違えるたびに
机をバンバン叩いたり、
壁をドン!っと叩いたり、
大声で叫んだりする子でした。
私にできるのは気分転換に周りを歩き回ったり、
一緒に水を飲みに行ったりするだけでした。
それでもその子は徐々に対応力を身につけていき、
自分でコントロールできるようになりました。
もし、当時の私にちょっとしたテクニックがあれば、
その子はもっとすごしやすかったかもしれません。
鍼灸専門学校入学前、介護の仕事
をしているとき、知的障害を持つ子供に
接する機会がありました。
その子は時々自分の気持ちが高ぶり、
持て余してしまうようでした。
ある時、暴れそうになった時に私の手をつかみ、
自分の額の上の方に持っていき、
トントンと指で叩いてほしい
と意思表示したことがありました。
そしてその通りにしていると
落ち着きを取り戻しました。
「この子は自分の身体感覚と
対処法をわかっているのか。すごいな。」
と思ったものでした。
学校で小児療法を学んだとき、
この経験を思い出したのです。
子供の成長に関わる、教育者、保育士、
ヘルパー、親などの周囲の大人が
簡単なテクニックを知っていれば、
子供が自分を持て余した時などに
助け船を出せて、子供はもう少し
過ごしやすくなると思います。
そうすることで、周囲の大人にとっても
過ごしやすい日々になると思います。
これから鍼灸師の仲間入りをする予定の私
ですが、鍼灸師のテクニックを自分たちの
専売特許にしたいとは思いません。
必要な人にどんどんと使ってもらえるように
働きかけられる鍼灸師でありたい
と思います。よりみんなが健康で笑顔の多い日々をすごせるように。
参考
谷岡賢徳著 大師流小児鍼 六然社
谷岡賢徳著 小児鍼の実際 源草社
米山博久、森秀太郎著 小児針法 医道の日本社
王道全編著、小児推拿図解、山東科学技術出版社
倫新荣莉編絵 小児実用按摩保険図解 人民衛生出版社
日本小児はり学会
https://shonihari.jp/wp/acupuncturist/
ゆうべファミリー治療院
http://www.yube-chiro.com/
TCM小児推拿協会
http://tcm-tuina.or.jp/
投稿者プロフィール
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齢30代。ケアの仕事の地位向上を目指して右往左往と日々勉強中
保有資格:はり師/きゅう師/介護福祉士/公認心理師/登録販売者/整体師/心理カウンセラー/家族相談士/SNSカウンセラー
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