はじめまして。あなたこなたです。記事第一弾は予定を大幅に変更しました。読者の皆さんのお役に立てばうれしいです。
※文中の[]内の数字に対応した注釈が文末にあります。この記事内容は新型コロナウイルスへの感染を予防したり、発症の抑制を保証するものではありません。
4月7日に最初の緊急事態宣言、外出自粛要請が発せられて1ヶ月程度延長される情勢です。感染者数は検査状況により大きく変化するため参考程度です。
公表されている値は最低でもこのくらいという人数であり、実際の感染者数は思った以上いる可能性が高いと言われています[1]。感染者数が重要という主張もありますが[2]、私は重症化する方、亡くなられる方をいかに抑えるかが重要だと考えます。加えて、日ごろから医療的ケアが必要な方へケアの提供を止めないためにも医療崩壊を防がなければいけません[3]。
残念ながら亡くなられた方が500人以上(5/3時点)いらっしゃるものの、欧米に比べて多くはありません。
これは医療従事者の必死の努力の要素が大きいと考えられ、感謝に堪えません。しかし、医療崩壊の危機は依然として続いており、予断を許さない状況です。
なぜこれほど医療崩壊が危惧されているかというと、新型コロナウイルス感染症が指定感染症に指定されたことが一つの原因と言われています[4]。
つまり、陽性即入院のルートが出来てしまい、医療を重症者に集中させられなくなったのです。
ただ、早急に強力な対策を推し進めるためには必要で、指定しない場合のリスクも大きいと想定され、この判断の評価は難しいと考えます。
幸い軽症者のホテル等宿泊施設への隔離が始まり、こういった問題も軽減されていくと思われます。また、西洋医学における治療薬の候補も徐々に増えています[5]。今後、承認され、活用されるようになると治療の負担や不安感もより軽減されると考えられます。それまでは、私たちができる外出抑制、社会的距離(各個人1m以上の間隔)の確保、手洗いうがいの徹底、マスクの着用、顔を触る前には必ず消毒する等による感染拡大防止策を講じることは意味のあることです。今の日本では、触れるものすべてがすでに汚染されていると考え、自分の体との接触を考えていくべきだと思います。同時にセルフケアにより
いわゆる免疫力を向上させることも重要です。今後は重症者に医療的資源を集中させするため、医療的ケアが必要な方に滞りなく医療を提供するため、
無症状者の増加・軽症者の重症化防止、早期回復、加えて医療従事者、介護従事者へのケアが重要になると考えられます。
ここに鍼灸漢方療法がもっと積極的に活用されていれば、この未知であった感染症への不安感はもっと軽減できていたのではないかと思うのです。
今回のコロナパニックとも言える日本の現状に対して、鍼灸師を志す者として鍼灸漢方療法の活用が十分でない印象を受けるのは残念でなりません。
特に医療従事者、介護従事者へのケアは医療の範疇ではなく、鍼灸師、カウンセラー等が担当しても良い分野だと思います。
また、私たちが日常の中で免疫力を養い、無症状者として過ごせたら、今後、感染の第二波、第三波が来た場合の医療崩壊、介護崩壊のリスクを私たち自身の力で低下させられるのではと思うのです。そうなることを願い、武漢で直接治療にあたった中医師の先生方の話や現在日本で鍼灸漢方療法を用いて精一杯対応しておられる諸先生方の知見をまとめました。
新型コロナウイルスは中国武漢よりはじまり、飛沫感染により感染拡大したと言われています[6]。中国ですでに様々な治療法が試行錯誤され、重症者に対しても漢方の服用で改善している結果が出ています[7]。ウイルスの種々の物質上での活性時間もわかってきています。そして重症化のメカニズム[8]の一つとしてサイトカインストーム[9](免疫機序の暴走)があると考えられています。免疫の調整が効かず暴走し、臓器を傷つけることで臓器不全を起こし重症化に至ると考えられています。そのサイトカインストームの抑制に漢方薬が有効[10][11]であることから重症者を改善出来ているのだろうと考えられます。
そこで下記のコロナウイルスに限らず一般的な風邪症状に有効な方法で家庭的にケアを行い、持続することで医療崩壊のリスク低減に少しは貢献出来るのではと思います。
ただ、常用している薬がある人の漢方薬の服用には医師への相談が必要です。また鍼灸師、漢方薬局や東洋医学に理解のある医者と関わりのある方は相談されてから活用されることが前提です。各個人の体質に合わせた鍼灸漢方施術がより効果的である為です、また子供は漢方薬の服用よりも、薬膳的食事、身体のマッサージの適用が良いです。全体を通して、良質の睡眠、負荷が大きすぎない運動、家庭菜園等の園芸療法、リラックス状態を維持する足湯、アロマテラピー、薬膳等を活用し,免疫力の維持が出来るとなお良いと考えます。医療従事者、介護従事者の体力消耗、ストレスは今後も大きいと考えられます。個人的には、
この方達を支える側としてなにか行動していければと思案する日々です。
また、以下にあげている漢方薬は一般のドラッグストアや漢方薬局でも購入できるもので、あえて高額な漢方薬を買う必要はないことを知って頂きたいです[12]。
1.予防を期待しての漢方鍼灸療法施術[13][14](カッコ内下線はツボの名前)
<薬膳>
当帰(とうき)、黄耆(おうぎ)、山芋(長芋も可)、西洋ニンジン、紫蘇、羊肉、牛肉を用いた温料理
(当帰、黄耆は漢方薬局で購入可能)
<漢方薬>
・十全大補湯または補中益気湯(疲れた時に熱っぽくなる人対象)を日常的に服用する
(注:漢方、薬膳ともに火照り、喉の渇き、歯痛などが出てきたら服用を止め、牛蒡茶、金銀花や桔梗を用いたお茶を飲むと改善します。)
<セルフケア> 以下、加温は1回分は長くて半日程度。火照りが出たらその時点で終了させる。マッサージは筋肉が緩んだら終了、長くても15分程。 これらを毎日のように行う。
臍下部(気海・関元)、胃部(中脘)、肩甲骨の内側周辺(風門・肺兪)、膝下(足三里)に加温。貼るカイロや直貼り(久光製薬)などの活用がおすすめ。
膝下(足三里)や手親指の付け根(合谷・魚際)のマッサージ
2.風邪っぽい症状の時の施術(重症化防止)症状への対応
<漢方薬>
微熱発熱、倦怠感が出始めたら
・葛根湯(ドリンク剤もあり使いやすい)
・麻黄湯(寒気があり、汗が無い時。口渇や汗が出たら止める。)
・麻黄ブシ細辛湯(高齢者で体温が低めの人)
上記3種は長くて一週間の服用。
・麻杏甘石湯+銀翹散を一対一で服用(発熱、咳、痰が強い人)
・藿香正気散(かっこうしょうきさん。腹痛、下痢、嘔吐が強い人)
全て体調が変化したら止める。その後は症状が悪化すれば医療機関を受診、軽減すれば1.予防的施術を行う。
<セルフケア>
1.予防的施術の加温やマッサージに加え、
肘周り(曲沢・尺沢)、へそ周り(天枢)のマッサージ(強く揉む)
胸部(膻中)、膝下外側(足三里)頭頂部(百会)、足首内側くるぶしの拳一つ上(三陰交)のマッサージと加温。
3.回復期施術
体調が落ち着いてきたら、1.予防的施術へ移行する。
<漢方薬>
麦門冬湯
<セルフケア>
胃部(中脘)、臍下部(気海・関元)の加温、手首内側からやや肘側(内関)や肘の中間(孔最)あたりのマッサージや加温、膝下周辺(足三里、陰陵泉)やふくらはぎ(豊隆、三陰交)のマッサージ
(注:ツボに関するイラストは、兵頭明監修、ビジュアル版東洋医学経絡・ツボの地図帳、新星出版を改変して使用。)
[1]コロナ感染者、実際は50倍超か 米加州の抗体検査で推計,一般社団法人共同通信社,2020.4.20掲載
https://www.47news.jp/4735228.html
[2]笹野 大輔,なぜ日本メディアは「コロナで大変そうな海外」ばかり報道するのか,現代ビジネス,2020.4.21掲載
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72018
[3]「医療危機的状況宣言」を発表,日医ニュース,2020.4.20掲載
https://www.med.or.jp/nichiionline/article/009242.html
[4]浅香正博,新型コロナウイルス感染症:指定感染症であることによる混乱の可能性,日本医事新報社,2020.3.10掲載
[5] 重症の新型コロナ肺炎患者対象に「アクテムラ」国内治験実施─中外製薬,日本医事新報社,2020-04-14更新
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14406
[6]白木公康,緊急寄稿(1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察,日本医事新報社,2020-03-18更新,https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14278
[7] 早川敏弘,中医学と新型コロナウイルス COVID-19,中医研通信4月号,関西中医鍼灸研究会
http://www001.upp.so-net.ne.jp/yuihari/top.htm
[8]SANAE AKIYAM,新型コロナウイルスは、いかに感染し、そして重症化するのか? そのメカニズムが研究で明らかになってきた,WIRED,2020.04.19掲載
https://wired.jp/2020/04/19/covid-19-mechanism/
[9] AMY MCKEEVE,免疫の暴走がおきることも 新型コロナ、重症化の理由,ナショナル ジオグラフィックニュース,2020.3.2掲載,https://style.nikkei.com/article/DGXMZO55908430R20C20A2000000/?page=3
[10]渡辺賢治ほか,【緊急寄稿】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する漢方の役割,日本医事新報社,2020.4.13掲載,
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14426
[11]インフルエンザの漢方治療,クラシエ薬品,http://www.kampoyubi.jp/learn/practice/07.html
[12]「コロナに効く」と漢方薬を違法販売の疑い 男2人逮捕,朝日新聞,2020.4.17付
https://www.asahi.com/articles/ASN4K3V8PN4JPTIL03T.html
[13]小川恵子(金沢大学付属病院 漢方医学科),COVID-19 感染症に対する漢方治療の考え方,一般社団法人 日本感染症学会,2020.3.19公開,http://www.kansensho.or.jp/modules/news/index.php?content_id=140
[14] COVID-19のための鍼灸介入ガイドライン(第2版) 中国鍼灸学会(翻訳 医道の日本社)2020.3.31掲載
https://note.com/idononippon/n/n76e765af6a41
投稿者プロフィール
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齢30代。ケアの仕事の地位向上を目指して右往左往と日々勉強中
保有資格:はり師/きゅう師/介護福祉士/公認心理師/登録販売者/整体師/心理カウンセラー/家族相談士/SNSカウンセラー
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