<聞き手:島本昌浩>

対談実施日:2021年2月20日@Zoom

(島本)
伝えていきたいことが障害に絡むことで、
本名は出さないということなので、

言いたくないことは言いたくないでOKです。
私は自由に質問させていただきます。

システムエンジニア(SE) をされていて、
会社勤めからフリーランスに転向されたそうですね。
大学で何かそういう関係の勉強をされていた?

(だいちゃん)
独学のあとに専門学校に行きました。

正体不明の不安があった高校時代

(島本)
高校を出てから独学をしながら過ごした時間があると。

(だいちゃん)
実は、高校に行けなくなってしまいまして
高校中退で高卒認定を後に取りました。

(島本)
高卒認定されて専門学校に入学したと。

(だいちゃん)
はい、そうですね。

(島本)
高校に行けなくなったのは障害の関係ですか?

(だいちゃん)
その時は分からなかったです。
障害だったのか、何だったのか。

いわゆる「グレーゾーン」
と呼ばれるものだったと思われるので

病院に行けなかったですし、
もう自分が行けないことが
よくわからなかったですね。

(島本)
ただ学校に行くことについて
すごくしんどさがあったと。

(だいちゃん)
そうですね。
ただただしんどくてつらかった。
それしかなくて。

(島本)
その当時はグレーゾーンっていう言葉は
どこかに相談して
「グレーゾーンだね」
と言われてたんですか?

(だいちゃん)
弟が発達障害って診断されてたんですね。
でも、僕はそこには連れて行かれなかったので
そうは言ってもらってなくて。
僕は何なんだろう思って。

(島本)
医療とは繋がってない状態だったんですね。

(だいちゃん)
で、色々調べてたらこれかなって
自分でグレーゾーンなんだなってことで
納得するしかなかったっていう感じですね。

(島本)
これは何なんだろうと
自分のそのしんどさついてモヤモヤがあって、
それをネットで調べられてって感じですか?

(だいちゃん)
そうです。

SEの道を歩みだした原点

(島本)
そこから専門学校でプログラミングを勉強された ?

(だいちゃん)
そうですね、はい。

(島本)
そういう分野のことを
好きになられたきっかけって何ですか?

(だいちゃん)
父がパソコンを買ってくれたことです。
そこからもうはまりました。

もっと言えば、パソコンではなくワープロですね。
ワープロのマクロ機能があったので、
それでまずはいろんなことを自動化して
物足りないなーって思ってたところからです。

(島本)
そういうのを触って
自分なりに動かしていっている姿を
お父さんが見られていて、
この子はこういうことが好きなんだろう
とパソコンも買ってくれた感じなんですか?

(だいちゃん)
そうだと思います。
昔は結構厳しいと言うか、
なかなかそういうことしてくれない父親だったので
その時買ってくれたってことは
そこをきちんと見てくれてたんだなー
って今は思いますね。

(島本)
それは高校をもう辞めるかの時期ですか?

(だいちゃん)
それより前ですね。

(島本)
高校に行かねばならぬと、
苦悩していた時?

(だいちゃん)
そうですね。

(島本)
今っておいくつなんですか?

(だいちゃん)

37になります。

(島本)
高校のときに買ってもらったというのは、
Windows の感じですかね?
まだ回線は遅かったけど、
インターネットが
だんだん普及してきたぐらいの時期ですかね?

(だいちゃん)
そうです Windows 。
ピーゴロゴロの時代。
懐かしいですね。

(島本)
それで自分がのめり込めるものを見つけて
この道に進むんだと直感的に決めた感じですか?

大人になるのが怖い!?

(だいちゃん)
いえ、それが実は真逆です。
もう高校の頃から
大人になることがまず恐怖でした。

(島本)
大人になるのが怖い?

(だいちゃん)
大学に入る。
みんなが大学に入る、行く。
そのことすら怖かったです。

自分も行かなきゃいけないのか
っていうことが怖かったです。

(島本)
大人になる何が怖いという感じだったんですか?

(だいちゃん)
そうですね。

挙げればきりないんですけど、
そういえば今でもそうなんですけど、
西と東ってどっちですか?って聞かれたら
普通の人はすぐ答えるんですけど、
私は答えられなかったんですよね。

他にも当たり前にみんながやってきてることが
できないことが多かったです。
そもそも右と左で困ってました。

(島本)
でも、それがなんなのか
っていう説明はついてなかった訳ですよね。

(だいちゃん)
文章を書くこともできなかったんです。
作文の宿題が絶対出るじゃないですか。
あれが絶対できなかったんです。

(島本)
そういう状態の自分が
自分で生きていかないといけない
大人の世界に入っていくといくことが
ただただ怖かったということですか?

(だいちゃん)
まず不可能って感じましたね。
大学に入ったらまず論文を書かなきゃいけないとか。
もそれだけでも怖かった。
電話も怖かったんで、
大人になったらもちろん電話を取ったりとか
人と話したりとかしなきゃいけない。
それができないけど、
それをしないといけなくなる。
学校をだったらまだごまかせるかもしれないけど
大人になったらそれはごまかせなくなるじゃないかと。

(島本)
そういう状態でも
漠然とそういうことをしないといけないんだ
っていうことは分かっていたんですか?

(だいちゃん)
分かってました。

(島本)
それが今やフリーランスとして
一人で働くようになり、
こうして初対面でも
コミュニケーションできています。

話せばそれこそ事前に挙げていただいた様々な出来事
があったと思いますけど今日は入口ということで。

障害の現状について

今、具体的に障害として
どういう認定になってるんですか?

(だいちゃん)
発達障害の ADHD と ASD
そこから来る双極性障害です。

(島本)
発達障害がベースにあって、
二次障害として双極性障害で
精神障害者保健福祉手帳を交付されている?

(だいちゃん)
はい、2級です。

(島本)
そういう確定的な診断がついて、
手帳を取得されたのはいつの段階ですか

(だいちゃん)
すみません。
すぐ出てこないですね。

(島本)
ゆっくりで大丈夫ですよ。

専門学校に行ってた時は、
医療に頼ることはもうされていた?

(だいちゃん)
はい、していました。

(島本)
最初に病院に行った方がいいってなったのは
家族の勧めとかがあった?

(だいちゃん)
いや、僕が行きたいと言って行きました。

(島本)
高校卒業認定資格を取って
専門学校入学をされたのは何歳?

(だいちゃん)
すいません、
ちょっと資料だします。
記憶が曖昧でして

MINOLTA DIGITAL CAMERA

一番最初・・・

質問もう一度よろしいですか?

(島本)

自分の意思でお医者さんには行ったということですが、
高校卒業の資格を取って専門学校に入学されたのは何歳の時ですか?

(だいちゃん)
20になってからです。

(島本)
専門学校は何年間?

(だいちゃん)

えっと3年間です。

(島本)
お医者さんとの繋がりができていたし、
高校の時のように通学がしんどく
行けなくなるってというところから、
その頃には解放されてましたか?

医療に対する不信感

(だいちゃん)
いえ、病院には行ったんですが、
結局そのその場しのぎのような処方だったので。
うつとかそういうのは良くなったんですが、
もう躁になったりとかした時に、ちょっと。
一日中寝なかったりとか
そういう風な事もあったりして。
結局根本的なものがなにも解決はせず
っていう形で、あまり病院に
近づかなくなったんです。

(島本)
良くなりたくて病院に通ったけど、
なかなか改善しない現実があって
、ちょっと不信感みたいなのが芽生えてしまった?

(だいちゃん)
そうですね、はい。

(島本)
ちなみに、 詳しく存じ上げてるわけじゃないんですが、
双極性障害には1型と2型がありますよね 。
どっちとかってわかります?

今 Google で調べたら、
1型の方がちょっと重いみたいなんです

(だいちゃん)
ちょっとそこまでは聞いてないですね。
双極性とは聞いてるんですが。
今までずっと病院にかかってて
あんまり病名を聞くことがないんですよね。
大抵なんかの診断書をちらっと見て知ることが多くて。
「あなたは何々ですよ」
っていうのを聞いたことがあまりないです。

(島本)
そこは具体的にどういう診断なのか
っていうことについては興味がない感じですか?

(だいちゃん)
興味はあるんですが…

(島本
ドクターが明言しない。

(だいちゃん)
そうですね。
「それを知ったところでどうするの」
っていうような返答が来るんで。
「それより自分の今の症状が物語ってるでしょう」
みたいな感じの言い方をドクタにーはされますね。
今かかってる先生もそうですし、
今までかかってきた時もそういう感じでした。

聞くとなんか怒られるというところまではいかないですが、
決めつけるんじゃなくて、
それはそういう性格というか個性なんだよ
みたいな感じで言われるドクターが
最近は多い気がします。
昔はもう何も言わないドクターも多かったですが。

(島本)
話が発展しないからある種諦めに近いものがある?

(だいちゃん)
そもそも、発達障害っていうのを勉強した時に
もうそうなのかなってなったのもありますね。
一度障害の診断を受けた時に勉強会があったんです。

その時にこれは個性だと。
発達障害って言ってもいろんな種類の方
がいらっしゃると学んで、そうなのか
ってそこで思えるようになった気がします。

(島本)
そう思えたことでちょっと気が楽になった
という感じだったんですか?

(だいちゃん)
あ、それは良かったことだと思います。
色んな方がいらっしゃる中で
線引きをしないっていうのは
非常に良いこと
かなと私は思います

(島本)
でも、その医療との関わりで
症状がうまく改善しない時間もあった中で、
今すごく自己管理をきっちりされてる
という印象を受けるんですけど。

2021年3月手がけたWebサイトがコンテストで入賞

(だいちゃん)
そうでもないですよ。

(島本)
何時頃には寝る。
起きて薬を飲んでもう1回寝ると伺ってますが。

(だいちゃん)
そうですね。
一応の決まりとしてですね。

(島本)
そのルーティンが崩れると体調に現れます?

(だいちゃん)
ガクっときます。
完全に1日潰れますね、
先日やらかしまして1日寝てました。

(島本)
そういう生活習慣が身につくまでは
当然ご自身で試行錯誤して、
ドクターのアドバイスや奥様のサポートもあって
っていうのもあると思うんですけど。

人生の転機

(だいちゃん)

今、自分一人じゃないっていうのがすごく大きくて

やっぱり3年前に結婚する以前の一人だった時は、
もうめちゃくちゃだったんで
結婚、同棲を始めた時。

そこが私の大きな分岐点でしたね。

人生が大きく変わりました。
これはほんとに自信を持って言えます

(島本)
奥様が別室で聞いているといういう特殊事情もあるんですけど(笑)、
もちろん好転したというのが伝わってきます。

(だいちゃん)
これは何回でもいえます。感謝でしかないんで。

(島本)
そこまで言えるのはすごい!

(だいちゃん)
彼女は足に障害があるんですが。
たまにちょっと私の仕事の時間が削られるとイラッとする時はあるんですけど、
居てくれるだけで、ただただやっぱり一人じゃない。
二人で支え合っていかなきゃいけないっていうこと、
これはやっぱり大きい出来事でしたね。

(島本)
自分がいて、支えたい人、存在がある。
支えてもらって自分がいられるという実感で
自分をきっちり律してやっている
のが現在地という感じですか?

(だいちゃん)
そうですね。

(島本)

今いい感じでまとまりました。

(島本)

また、後で奥様にこれを聞いていてどう感じたかというのを是非聞いてみたいですけど。

奥様(以下、愛称の「るぅ」)別室から急遽参加

(るぅ)
聞こえますか?

(島本)
はい。初めまして。

(るぅ)
こんにちは。初めまして。るぅです。

(島本)
島本と言います。
よろしくお願いします。
(るぅ)
よろしくお願いします。

(島本)
最後に夫婦愛が炸裂しました。

(るぅ)
いや、ありがたいです。
むしろ、あまり役に立ってないけど、
支えになれてるならうれしいです。

(島本)
存在そのものがかなり大きい支えなのだろうな
というのが私の印象です。

(るぅ)
そう言ってくれるんですよね、必ず。
私は自信がないんです。
旦那さんは私から見ると意外と何でもできる人なので。

(島本)
機会があればるぅさんのお話も。

(るぅ)
あ、はい。そうですね。
今日のインタビューを視聴していて
「、なるほどなー」って。
こういう感じで自分と向き合っていくんだな
って思いました。
今まで旦那さんが自分から進んで
こういう風に振り返ろうってするのは
あんまり見られなかったので
ひとつのきっかけになったのかな
て思いました。

(島本)
今回ホントたまたまこの活動のことを
見つけてくれたそうなので
ご主人と私にご縁がありましたね。
今後とも是非ご夫婦でよろしくお願いします。

(るぅ)
よろしくお願いします。

(島本)

ちょこっとだけ、差し支えいなければ、
足に障害があるということですが、
言える範囲でそれは何の障害ですか?

(るぅ)
骨盤骨折をしてそれから足の機能障害
になりまして、歩行は可能なんですけど、
ほぼほぼ末梢の神経が動かない状態です。

(島本)
ということは足の細い運動ができない感じですか?

(るぅ)
そうですね。
まず、足の指を動かせないっていうのと
つま先立ちだとかジャンプができないです。
生まれつきではないんですけれども。

ちょっと昔に辛いことがありまして、
自殺未遂をした結果
こういう形になってしまったんですけれども。
何かお聞きしたいことがあれば。

(島本)
今から始めるとかなり長くなるので。
長い付き合いになりそうな気がするので
今日はこの辺で。

(るぅ)
そうですね。

(島本)
今日は休日に長時間お付き合いいただき
ありがとうございます。
奥様にまで入っていただいて。

(だいちゃん)
はい。
こちらこそ突然受け入れていただいて
ありがとうございました。

(島本)
いやいや、まさか最後
入ってくれると思ってなかったから
ほんとうれしかったです。
ありがとうございます。

投稿者プロフィール

だいちゃん
だいちゃん
個人事業を営むシステムエンジニアです。
体調と仕事のバランスを探りながら日々過ごしています。