多目的トイレはみんなのトイレ?

障害の種類を問わず、生活に不自由がある場合、
少なくとも自宅の住環境はそれぞれの特性に応じて
暮らしやすいように工夫されていると思います。

より心配なのは外出先の環境です。
障害者が使いやすくするために設置した手すりが障害のない人にとっては邪魔
ということもあるので、

全ての人が使いやすいことと完全には一致しません。
しかし、車椅子で使えるトイレは、
ベビーカーと共に外出する人に使いやすい

という面もある。そこで、
みんなに優しいトイレを「障害者の視点」
から考えてみます。

車椅子利用者が使えるトイレは、
「多目的トイレ」と一般的に呼ばれます。

 

「障害者優先」
という趣旨の記載があるところもありますが、

私の肌感覚では「どなたでもお使い下さい」
という記載のあるところが多い気がします。
個人的には条件付きで後者に賛成です。

この条件に絡む話を。
私のメルマガの読者様から寄せられた声です。

椅子用トイレは、車椅子の人だけじゃなくて
ベビーカーのお母さんにも
便利です。
わたしの子は、小学生になるまでは、
私が一人でトイレに入ると不安がるので

いつもいっしょでした。
だから、わたしは空いていたら使っていましたが、
それは迷惑ですか?

お子様連れの方だけでなく、「使うと迷惑?」
と思われる方はいらっしゃると思います。
「“多目的”や“ユニバーサルデザイン”という美名のもとに、
車イスユーザーが阻害される」
という趣旨のことを過激な表現で
おっしゃる方もいらっしゃいます。

しかし、私は他の人のことを思いやれる
ぎすぎすしてない世の中がいいです。

ですので、「マナーが守られれば問題ない」
と考えます。

普通のトイレを問題なく使えるなら、
そちらを使って頂いた方が助かる

くらいに一当事者としては思っています。

私個人は普通の洋式トイレを使えますが、
多目的トイレでなければ、
そもそも用を足せない身体機能の方はいらっしゃる。

そのことを頭の片隅において頂ければ、
大きな問題は起こりにくいでしょう。

いずれにせよ、多目的トイレはとても大切なみんなの施設と考えます。

多目的トイレの位置情報が重要

ただ、全ての場所にあるわけではないので
どこにあるのかの情報が大切になってきます。

この悩みを解決するためにマップ化する取り組みが色んな主体によってなされています。
その中の素晴らしい取り組みを一つ紹介します。

NPO法人Checkは全国的なマップを提供しています。
私が驚いたのは、ここが提供しているスマホのアプリ

「Check a toilet」です。

地域を選んで検索をかけると、地図上に車イス対応のトイレが表示され、
選択すると、詳細な情報を入手できます。

写真は勿論、ドアや手すりの形状まで。

特に「すごい!」と思ったのは、情報の信頼性という項目

実際に使った人の情報なのか、
伝聞の情報かまで分かるのです。

この項目から分かるかと思いますが、

これは使いやすいトイレのマップをみんなで作る仕組みです。

アプリを起動すると、時々寄付を促す画面まで現れます。

誰もが出かけやすい世の中を実現する」ために活動されているそうです。

 

さて、排泄は生きていく上で必要不可欠。
よって、排泄に難しさを伴う障害者は、

トイレについての情報には敏感です。
私がなった脳卒中や脊髄損傷で身体にまひがある人はお
そらく代謝が落ちる
のとまひにより力めなくなるので、
排泄に時間がかかります。

私の身体条件から考える良いトイレの条件

①洋式トイレ

私は手をつかずにしゃがめません。
よってこれは必須です。

当然ながら高齢者にも
和式より優しく、望ましいです。

②清潔で、暖房便座ウォシュレット付

ウォシュレットについては、
「自宅以外では使いたくない」

という方もいらっしゃるみたいですね。
私はあった方がいいです。

ちなみに、手に障害がある場合、
紙で拭くのが難しいので必要です。

③安心できる設備が整っていること。

ここについては私の場合は1点、

常呼び出しボタンがあることです。

2か所にあると安心です。
1つは便座に座って押しやすい位置に、もう一つは床の少し上あたり。
後者がちゃんとあるところには、引っ張れば通報されるひもがだいたいついています。
つまり、転倒してしまった場合を想定した設備です。

ひもは手の機能の巧緻性を考慮した設計と思われます。

ボタンを押すのは難しいけど、
握って引っ張ることはできる場合を想定したものでしょう。

仮に、転倒した場合、独力で立ち上がるのは
難しいということです。

慎重かもしれませんが、
できたらここまで安心したいのが本音。

これらに照らし合わせて「ここ良いトイレやな」
とチェックします。

前述のアプリも使いますが、
自分で確かめてそれに基づき、

「あそこのトイレまでは我慢しよう」
という意思決定をします(笑)。

更に言うと、水分摂取量まで計算します。

種類の異なる他の障害に対応した設備

過去にインタビューした方から聞いた情報の範囲内で紹介します。

よって、オストメイトには触れていません。

聴覚障害

 

聴覚障害者は情報の多くを視覚から得る関係上、

個室に入った場合に非常事態の発生が分かるランプ
などがあると安心できるそうです。
そのような設備をこの目で
みたことはまだないので、
ご存知の方は教えて頂けたらうれしいです。

同じような設備になるでしょうが、
待っている人がいることが分かるノックの代用となる視覚に訴える装置。
実はこれは聴覚で無く、私と同じ肢体不自由の方が
ビーコン
を使って製品化されていました
(ビーコンの詳細はリンクを参照下さい)。
ノックをすることで急かしてしまい、
用を足している人と険悪になるのが困る
というのが作ろうと思った動機だったとか。
興味のある方はその方のインタビューをご覧ください。

 

最初の問いに対応しますが、
何かと気が急く場面ではありますが、
ハードを整えると共に心にもゆとりを持って
みんなで気持ちよく使いたいものです。