私は、相談支援専門員です。その役割は、「本人が本人の人生の主人公(あるじ)になること」を応援することだと考えています。

🔶相談支援専門員とは、障害のある人(以下、本人と表記します。)や、その家族の暮らしに関する全般的な相談支援を行う仕事です。本人が望む日常生活や社会生活を送ることができるよう、以下のような仕事をします。🔸障害福祉サービスなどの利用計画の作成🔸地域において本人らしい生活を送ることが出来るような諸々の支援🔸住宅入居等支援事業や成年後見制度利用支援事業に関する支援 等々多岐にわたります。本人への意思決定・意思表明・権利擁護支援を通じ、本人が主人公として人生を歩むことを応援します。

相談支援専門員と本人との主な接点で最も大切なやりとりは、「訪問による面談」です。訪問は、本人のご自宅がほとんどですが、必要に応じて通所されている事業所や通院に同行し、そこでのご本人の様子や関わりを見させていただくということもあります。

さて、この訪問ですが、実際にヘルパーさんなど自宅でのサービス支援を利用されている方に関しては受け入れはスムーズです。しかし、計画相談利用開始後、間がない方で通所のみの方などは「え、家にはちょっと…」と渋られることがあります。

これは当然の反応であると私は思っています。

支援者は圧倒的な「他者」です。その他者が自宅に、、さらに自室に入ってくるということはなかなか通常の暮らしの中では起こりえない事だからです。小学校などでの家庭訪問をイメージしていただければわかりやすいと思います。最近は、その家庭訪問でさえも、玄関先で終了という時勢ですからなおさらです。

専門員で担当だからといって当然のように訪問をするという気構えはよろしくないのです。決して土足で踏み込むということをしてはならないのです。

では、どのような目的や気構えで訪問をしているのかについてその理由とともにお話をしていきます。

🔶訪問するということ、その目的

訪問では、本人がどのような環境で暮らしを営んでいるのかについて知ることができます。生身の生活者である本人を知るために訪問を行います。

立地や、構え、構造、調度品など、「家」には本人の今までの営みがそこかしこに刻まれています。全く家具がない方や、細かな雑貨に囲まれている方、整理整頓が隅々まで行き届いている方、またはその反対など、「家」というものは、本人が実に見事に映し出されているのです。もっといえば、本人が何を好み、何を大切にしていて、何に重きを置いているのかなどその心象に近づくことができる大切な機会になるのです。

ここで外してはならないのが、専門員は圧倒的な他者であるという自覚と気構えを持つことです。ですので私は、目的を本人に必ずお伝えして訪問を行います。

全ての人の暮らしは「現在進行形」ですので、訪問を重ねながらご本人との関係を深め、その変化を本人とともに見つけ、楽しむという感覚もあります。うまくいっていない時には、それがなぜかということを本人とともに紐解いていきます。

実際の面談では、本人と専門員が二人きりということもありますし、時には本人支援にかかわっている家族や事業所の職員など支援に関わる人が自宅に集い、計画(正式名称:サービス等利用計画または、本人中心支援計画)のモニタリングや検討などの話し合いをすることもあります。自宅と外とは誰しも違う顔がありますし、そういう本人の多面性を直に知ることでさらに本人理解が深まり、日々の支援に生かされる効果がありますし、家族がいる場合には、その家族の声や想いを本人の前で伝えてもらう大事な機会となります。

私が専門員になりたての頃は、自身に余裕がないこともあってドキドキし、緊張したという経験もあります。約束の時間に、本人不在であったり、居留守をつかわれたりということもありました。他者から見ると不要なものを山積みし人が入る余地もないという環境に暮らす方もおられます。「来るな!帰って!」と言われたこともあります。正直なところ、焦りますし敗北感のようなものも感じました。

しかし、なぜ本人がそう在るのかを想像し考えることを諦めなかったことで、その後、ゆっくりであっても迎え入れ、受け入れてくださったのかな…と今は思います。

次回は、その2:面接は何が行われているのか!?についてお話します。