車椅子ユーザーが電車利用時における連携ミスに遭遇した場合の対処法決定版!

車椅子での電車利用について
複数の記事を私は既にUPしています。

その中でも、利用者に与える負の影響が大きい
駅員の連携ミスに多くの分量を割いてきました。

昨年末に経験した車椅子で走行中に前輪が
外れたことによる転倒事故に比べれば
電車利用時の連携ミスは今回私が書くことを
知っていれば危険はないです。

さて、先日、健康な方には絶対起こらない
車椅子での電車利用における最大の事故と言える
降りたい駅で降りられず、通過する
という事態に直面しました。

通過した場合、引き返す必要があり、
時間をかなりロスします。

時間は命と同じですし、
仕事が絡んでいると信用に関わるため、
与える影響が大きいです。

「転んでもタダでは起きない」

アクシデントにこそ教訓があるので
この機会に電車利用に関わる
アクシデントを主にして
集大成の記事として書いていきます。

「キャッチスルー」とは!?

ザッと検索してみましたが、私の書くことを
一般的に表した言葉は見当たりませんでした。

よって、車椅子で電車に乗って、
降りる予定の駅を通過してしまう事態を
便宜的に「キャッチスルー」と呼びます。

というのも、車椅子ユーザーが電車に乗る際の手順が
①乗車駅で駅員さんに降車予定駅を伝える
②駅員さんが降車予定駅に連絡する
③スロープの介助をして頂き乗車する。
④降車予定駅で駅員さんが乗車位置に対応する場所で待機し、
降車時に乗車時同様の介助をする

(間に乗り替えを挟む場合、
②~④が乗換駅でもなされる)

このような流れになっているからです。

つまり、降車時に待機している駅員さんが
「キャッチ」してくれないと
前輪を浮かせられない
私のような電動車椅子ユーザーは
その駅を「スルー」(通過)せざるを得ない。

 降車予定駅を通過してしまうことを
「キャッチスルー」と定義します。

ついでながら、私は困った際に
自分から周りの人に必要なサポートを
お願いすることに抵抗はありません。

しかし、待機しているはずの駅員さんがいない場合に
車椅子ごと、
あるいは少しなら杖歩行できるので、
立ち上がって私自身は自力で降車し、
周りの乗客の方に車椅子を降ろしてもらう
ということはお願いしません。

なぜなら、停車時間や乗ってくる方との関係から
それは危険で難しいというのが私の合理的判断だからです。

では、以下にキャッチスルーが起こる原因と
起こった場合の車椅子ユーザーの対応、
事前にできる対策をまとめます。

人員不足が根本原因

キャッチスルーをいつか経験してしまうだろうな、
という予感は私の中にありました。
それまでに幸いスルーまでは行きませんでしたが、
やはり待機しているはずの駅員さんがいなくて
車掌さんが少し電車を停めて駅員さんを呼んできたり、
待機場所を間違っていてしばらくして駅員さんが走ってくる
という「キャッチミス」事案を経験していたからです。

では、なぜこのような事態が起こるか?
結論を書くと単純なヒューマンエラーです。

そもそも、連絡を受けた降車予定駅側の駅員は、
車椅子の乗客が来るということ自体は、
頭の中で把握しています。
しかし、これでは当然危ういですよね。

そこで〇時〇分着で来るということを
思い出すためにタイマーをセットして
管理しているそうです。

しかし、人のやることです。
タイマーをかけ忘れたり、
タイマーはかけていても
その前に他の業務対応に当たり
待機を忘れてしまうという
事態が起こります。

この部分のヒューマンエラー発生率を
ゼロにすることは不可能です。

 

私がよく利用している駅は
駅員さんが一人しかいません。
そもそも、駅に配置されている
駅員さんを増員できれば、上記のような課題の
即時解決も夢ではないです。

しかし、これは経営的に
難しいでしょう。

次のような対策を講じられれば、
減らせるとは思います。

例えば、テクノロジーの進化による
ロボットや現在もある手動で開けられる扉のように
各扉に車椅子ユーザーが任意でスロープを出せる
ボタンの付いた車両の導入等ですが、
この実現にはもう少し時間がかかるでしょう。

現実的なところで、
比較的低コストでホームと
電車の隙間をなくし、
車椅子のまま乗降できる駅が
一部に出てきているようなので、
これは推進して頂きたいところです。

乗車位置(降車予定位置)について補足すると、
駅と駅の関係で決まっています
(申し出れば希望が通る場合もあります)。

もう一つの要因の待機していないと行けないタイミングで
他の業務対応をしているということについて。

これは車椅子の乗客介助対応の優先順位を
明確化しておく必要があります。

キャッチスルー経験後に複数の駅員さんに確認したところ、
「車椅子のお客様が降りられないのは大変な事なので
基本的に最優先です」との回答を得ました。

基本というのはそれよりも重大な事案、例えば、
ホームから人が転落した、駅構内での火災、
人が倒れた等があり得るからでしょう。

それ以外の、例えば、改札での問い合わせや
たまに見かけますが、ICを間違って切符投入口に
入れてしまった等には待機しないと行けない時は
対応しないと明言していました。

ところで、ヒューマンエラーが起こる状況は
二つに大別されます。

一つは前述した通り人員不足に起因するもの、

もう一つはケアレスミスです。

これは複数路線が乗り入れ、
乗り替えがある駅から
発車までの時間があまりないタイミングで
乗車するような場合に
起こる可能性が高いです。

そのような駅では色んな駅で降りる車椅子ユーザー
に対応する必要があり、各駅に対応する乗車位置をインプット
しておき、「〇時発〇両目〇番」と降車予定駅に正確に連絡する
必要があり、駅員さんに求められる事が多くなり、
キャパオーバーになる訳です。

降車予定駅まで距離があれば、
列車移動中に連絡することが可能です。

乗車可能なら、ギリギリのタイミングでとりあえず
乗せてくれることもあり、
そうなると乗車位置がズレたりします。

そういう時に乗車位置を伝え間違えてしまう
事態になります。

では、車椅子スペースのある車両に
乗車位置を固定する運用はどうでしょう?

降車予定駅の人員が1人の場合、
これだと、エレベーターから遠くなったり、
ホームの幅が狭い場所で降りないと行けなくなったりと
ベストとは言えません。

ここは乗車位置を把握しやすくするような表示
を付けるだけで解決すると思うんですけどねぇ。

このパートのポイントは、
連携ミスの発生をゼロにはできないと
覚悟して電車には乗らないといけない

ということです。

対応方法を知り、淡々と行動すれば大丈夫

では、待機しているはずの駅員さんの姿が見えない時どうするか?

対応方法はそんなに難しくありません。
ここでは、直接駅員さんに確認したことと
キャッチスルー時私がとっさにとり、
成功した行動を紹介します。

まず、どの車両に乗るかは不確定なので、
より通用しやすい方から。

全車両に付いている非常ボタンを押して、
乗務員に事態を知らせてください。

ボタンが近くにない、
高くて届かない時は、
周りの方に事情を話し、
押してもらえば良いでしょう。

尋ねた駅員さんは、
「停車時に押してください」
と言われました。

でも、これは運転士でなく、
車掌と通話できるシステムのはずですから、
走行中でも問題ないはずです。

そうでないと、車内で急病人が出た時などに使えません。
それで対応してもらう訳ですが、
乗務員は車内アナウンスできます。

それを活かして、スルーした場合も
次の駅で「少々お待ちください」と言って、
駅員と連絡を取り、降ろしてくれます。

私がキャッチスルーを体験した時は
まさにこの対応で降車予定駅の次の駅で
降ろしてもらえました。

ただ、私はこの時非常ボタンは押していません。

最後尾の車両にいて、車掌さんに直接手を振って、
手招きして車掌さんが走行中に出てきてくれ、
事情を聞いてくれたのです。

このパートのポイントは、

非常ボタンを使うなり、
周りの人に頼むなりして
車掌さんに事態を知らせる

です。

事前にできることもある

先のパートで述べたことは事後の対応です。
多少の不便を覚悟すれば、
仮にキャッチスルーが起きても
被害を最小限に留める方法はありますし、
事前の対策により、発生確率を下げることも
できます。

防止方法は徹底的に確認することです。

これは乗り替えを挟む場合は特にやった方がいいです。
乗る際に、「連絡はして頂けてますか?」
とこちら側から確認します。

車椅子利用者は目立ちます。
通勤、通学等で同じ駅を頻繁に使っていれば、
シフトで駅員さんが変わってもその駅の方、
全員に顔を覚えてもらえます。

何気ない会話でも日頃からしておけば、
確認もしやすいです。

ヒューマンエラーである以上、
キチンと連絡できているか、
確認可能な乗車駅だけでも
これをすることに意味はあります。
降車予定駅の方は待機しチェいてくれ!
と祈るしかないです(苦笑)。

次に、先に紹介した私がキャッチスルーにあった際、
次の駅で降りられた経緯からお気づきかと思いますが、
可能な範囲で最後尾の車両に乗れば、
何かあっても、すぐに車掌さんに
助けを求められます。

これなら、スルーしても
次の駅で降りられると思います。

駅によってはエレベーターから遠い、
ホームの狭いところを通る必要がある等の
不便があり得ます。
この方法を採用するかは個人の判断です。

他に考えられるのはガイドヘルプサービスを
利用して対価を得ているという意味でプロに
付き添ってもらうことでしょうか?

ただ、この場合、各駅のホームに備え置きのスロープは
鍵付の場所に収納されているので、ヘルパーが即開ける
のは不可能です。本人とヘルパーのれん系プレーで素早く
降車できるようにする形になると思います。

事前に申し出てもさすがに降車駅側がスロープの管理を
しているので、鍵を乗車時に受け取るのは難しいでしょうからね。

長くなりましたが、漏れなく書き切ったので
もう電車利用時の連携ミスの記事はコレが最後です。

 

投稿者プロフィール

島本 昌浩
島本 昌浩
バリアフリーチャレンジ!代表
challenged-view編集長