街づくりには短期の課題解決だけでなく、長期的視点の双方が必要不可欠

大きな話と思われる見出しですが、きっかけはエレベーターです。
こういう細部も街づくりでは軽視できないという経験をしたので、
そのことを書きます。

さて、障害の有無に関わらず、外出に利用する公共交通機関、
その中でも鉄道駅がバスの発着の起点になっていることから考えて、
もっとも広く利用されているのが電車だと思います。

1.駅のバリアフリーの重要性

本稿では特に車椅子利用者に関係する部分にフォーカスし、
後述するので、このパートではその他の障害者全体について概観しておきます。

車椅子を使う肢体不自由者だけでなく、視覚障害者や聴覚障害者等
他の身体障害者にとっても、駅がバリアフリー(優しい場)
でなければ、電車を利用することが難しいです。
また、知的障害者や精神障害者にとっても同様です。

視覚障害者にとって必要な点字ブロックは
私が観察している範囲ではほぼ整備されています。
最近は位置情報の音声アナウンスも聞くようになりました。
それでも転落事故はなくなっていません。
根本的な解決策である転落防止策の整備は主要駅を中心になされているようですが、

全駅にというのは様々な制約があり、今日明日に、
というのは現実的でないでしょう。

それをカバーするのが声かけなど全ての障害に関係する
ソフト面のバリアフリーです。
これはかなりよくなっているというのが私の印象です。

障害者差別解消法が施行され、
事業者に障害者への合理的配慮を求めることが
法定されたことは追い風になっていると思います。

前述のアナウンスの内容として、
「近くに視覚障害の方や身体の不自由な方等がいたら、
『お手伝いしましょうか?』

とお声掛けくださいますようお願いいたします」
と繰り返し流れていて、
私自身車椅子で駅にいて、

「お手伝いできることはありますか?」
と声をかけて頂く経験を何度もしています。

聴覚障害者には筆談で応じる事を示す耳マークが置かれていますし、
各地で手話言語条例の制定が進み、
手話対応できる駅員さんも増えていくのでは、
と思っています。

知的障害者には分かりやすい言葉で説明する、等
障害特性とそれに合わせた配慮の方法を

社会の多くの人が理解するという部分は進んでいく
と楽観的に見ていますし、私自身当事者の情報発信者として、
その一端を担うつもりです。

2.車椅子利用者にとってのエレベーターの有無、位置は大問題

高架駅が増えている現在、そもそもエレベーターがなければ、
車椅子利用者は電車利用したくても、
利用のハードルがかなり高くなります。
結果的に電車移動を伴う外出を控え、
家に籠りがちになってしまうのではないかと思います。

不便でもないよりはある方がいいのですが、
エレベーターの設置位置によっては、
外出する度にストレスが伴います。

そもそも、今回の内容を書こうと思ったのは、
私が以前(ここは名前を出した方が

役立つと思うのであえて実名を書きます)
路線で言うと、阪急電車の神戸線の延長にある
高速神戸駅を利用した時の経験が
とても印象に残ったからです。

その当時としては、私の電車を利用した外出では
遠出にでした。

地下2階にホームがあり、
地下1階にある改札まで上がり、

用事が駅の山側にあったので、
改札階から更に地上に上がる必要がありました。

駅の改札内でエレベーターを使い、
改札を出てから更にエレベーターを使うことは
この駅に限らずよくあります。

しかし、この駅はその移動経路がめちゃくちゃでした。
改札が東西に二箇所あり、ホームからの

エレベーターで行けるのは西のみ。
そして、地上に上がるエレベーターは東にしかなく、
しかも西改札口からかなり遠い。

正直、「何だ、これ?」となりました。
駅の山側で用事を済ませた後、
食事のために駅を挟んで逆側に当たる、
駅の海側にある商業施設エリア
「ハーバーランド」 に向かいました。

ここに行くには、地上ルートだと、
大きな車道を越える必要があるので、
地下ルートで行くことに。

再度また改札階に降りて、
東改札口を横切って地下街を進みました。

しかし、初めて通る場所ということもあり、
どこで地上に上がれるのか、
どこで上がれば目的地に行けるのか、
案内表示が上に出ているものの、
車椅子の目線で、見上げるのはしんどく
人にぶつかる可能性もあり、
移動にストレスを伴う環境でした。

この駅の乗降客の多くはそのエリアに行き、
それは東改札口の方が近い。

構造上問題があったのでしょうが、
この不便さはよく考えてホームから改札までの
エレベーターの設置をしていればは生じていません。

ホームからのエレベーターを西改札でなく、
東改札口に直結するように付ければ良かったのです。

素人の私が見た限りでは、東側に
エレベーターを付ける事は可能に思えました。

地下の移動も極めて分かりにくかったですが、何とかなります。
私は知らない人に話しかけることに抵抗がないので
そういうタイプの人は外出時アドバンテージがあります。

しかし、苦手な人もいる訳で車椅子の目線にも安くていいので
案内表示を設けるといった配慮があるといいと思います。

なぜ、こんな状態に整備されたのか、
という疑問をそのままにできず、

帰り際、駅員さんに尋ねました。

「何せ古い駅でつぎはぎ、つぎはぎで整備してこういう形になったようです」
とのことでした。

私の推測ですが、
駅ができたその時からニーズが
あったかまでは不明ですが、
エレベーターのニーズが出てきて、
ホームと改札を結ぶエレベーターを急ごしらえで
付けやすい西に付けた。

これが長期で見ると、その場しのぎの対応となったと思われます。

後から海側の開発計画が持ち上がり、
東側の乗降客が増えたため、
地下街はセットで整備したものの、
駅構内のエレベーターは既に西側にある。

地下通路を使えば東西の通行はできるから、
あえて東にもう1機付けることはないだろう、
というようなことだったのではないかと。

電車利用時の連携ミスについて記事を書いた際は
近くで取材可能だったので裏取りしました。

今回は当該場所が遠いので、
この部分は憶測に基づいた記述
であることをご了承ください。

上記推測が当たっているとすれば、
次のことからミスと言わざるを得ません。

①予測が確実にできる人口動態を無視

→既に見えていたはずの高齢化により、エレベーターを必要とする人が
増えることは確実であり、
駅の利便性は乗降客数にも影響を及ぼすことから、
予測が甘いと思います。

また、(駅の開設当時は何もなかったとしても)

②駅の周りの土地の形状などを踏まえ、
将来的にどこが開発される可能性があり、
それに伴い人の流れがどうなるかを考えていない。

人が来て、その街が賑わうわけで、
そう考えれば、駅を中心に人の流れができます。
 当時の課題解決としては、エレベーターを早急に設置したのは、
正解としても、街の将来にまで目配りをして設置場所を考えなかった
のであれば、疑問の残る対応でしょう。

よって、リード文に書いた

「街づくりには短期の課題解決だけでなく、長期的視点の双方が必要不可欠」

となる訳です。

 

こういうことを考える中でふと、「これってこの駅だけ?」
という当然の疑問がわいてきたので、
色々調べた間接情報と
自ら取材できる駅にも行ってきました。
長文になっているので、それについてはまた別の記事でまとめます。

 

投稿者プロフィール

島本 昌浩
島本 昌浩
バリアフリーチャレンジ!代表
challenged-view編集長