2022 年6月5日@facebookLIVE
ネットでリアルタイム放映しながら対談した内容を記事化する本企画、
過去にも数名いらっしゃいましたが、今回のゲスト阿部由勝さんも配信対談当日が初対面
バリアフリーチャレンジの活動コンセプトからすると、
このようなチャレンジをしていただいてありがたいです。
文字通り、「初めまして」の挨拶から始まった対談
阿部さんは福島ご出身で震災後いったん北海道で生活されたものの
寒さに耐えかねて4年前くらいに東京に移られたとのこと
子どもの個性に合わせた教育を!
島本:阿部さんのfacebookを拝見していて、
発達障害のある子どもの教育に力を入れてらっしゃる様子がうかがえました。阿部:そうです。震災前福島では一般的な学習塾を経営させていただいていて、
たま~に自閉のお子さんとか来た頂いてたんですけど、
札幌に移住してから今すごく増えた放課後等デイサービス、
事業所の学び、教科学習に関わる機会を頂いてずっと今まで続いています。島本:この分野の教育に力を入れていかれた経緯は?
阿部:障害があるとかないとかというところというよりはもともと学習塾を経営していて、
子供たちの学びを共有することをずっとライフワークとしてやらせてもらっていて、
たまたま障害のある子もいて、
障害ある子はアプローチの仕方、関わり方を工夫すれば結果が出るという実体験がありました。
障害児に特化したというよりは、子供たちそれぞれの個性に合わせた学習の環境を作る
というのがどちらかというと近いような気がします。島本:そうなんですね。
特化してるわけではないんですね。阿部:ほかにそういう事ができるところがあんまりないと思うので表現の方法ですね。
障害のあるお子さん達に有効なものは障害のないお子さんにとってもとても効果的だったりするので、
そこはあえて線を引くよりはあくまでも「放課後等デイサービス」を利用できるお子さんは
診断がついていたり、受給者証っていう資格証を取って利用しないといけません。
そういうお子さんが集まってる場所っていうのはあるけれども、
一般的な学習塾の中でも同じようなアプローチで学習の時間を共有してるので、
そういう意味では放課後等デイサービスではそういったお子さんたちを中心に
やらせていただいてるし、一般的な塾でも勉強する機会はあるので、
それぞれのお子さんの個性にできるだけ合わせた学習を提供できればという思いですね。課題解決をワンストップでできるチーム
島本:多分その流れにおいてだと思うんですけど、
NPO法人の立ち上げをされるというお話がある層ですが、
これは準備中ですか?阿部:だいぶ時間がかかっていますが、
ほんとにzoomやフェイスブックなどのSNSというツールが普及して
今回島本さんともこうやってお時間いただけるようになった。
僕もコロナ禍で利用させてもらって、教育、保育、療育等子供たちに関わるスペシャリスト
の人たちとコミュニケーションさせていただいて、
目指すものに賛同していただける方に集まっていただいて
結果的にNPO法人になればいなと動いています。島本:最初にNPOにしようというのがあったわけじゃなくて、
いろんな人と関わっていく中で「これNPOになりそうだね。」
という感じですか?阿部:まさにその通りですね。
最初は自分のこの仕事、子供たちと関わるお仕事を自分にできること、
逆に僕ができないことで皆さんができることっていうことがあると思います。
ですので、例えばご家庭から相談を受けたときに僕が解決できることとできないことが出てきます。
できないことを解決してくれる仲間がいれば、お母さんたちもいろんなところに相談に行ったりしたりしなくても済むそういうチームを作っていきたい。そこから始まったんですね。いろんな人たちが集まってきてくれていて、
また、zoomのおかげで日本全国からそういったメンバーたちが増えてきたので、
みんなが集まれる場所というか空間というよりは組織があれば、
それぞれの役割を果たせるだろうし、さらにそれを事業化し、
仕事としてきちんと責任を持ってできるようなチームができるかな
というところからNPO法人というイメージです。
このライブをやろうと最終的に声をかけたのは私ですが、
阿部さんの方から最初にフェイスブックでコンタクトがありました。
なぜ私に連絡をくださったのか伺うと、
阿部:いろんな方々の価値観というものを知りたいという事と
その価値観が自分にはないものであれば、
違った価値観で違った育ちで課題解決というところでお力をお貸しいただけるかな
とほんとに節操なくフェイスブックで連絡させていただいて、
すぐお話を伺わせてくださいということをずっとやってきています。
その中で島本さんの今やられてることの意味だったり、
今後どのようなことをやっていかれたいのか?
今までどんなことを経験されたのか?
また、当事者として頑張られてるってことも踏まえて
お声掛けさせていただきました。島本:現在この配信は私が企画してやっているので、
自由裁量で決めやすいので月1でやっています。
記事公開に関しては、私私が月1、他の方については不定期です。こんな方がいますよ、と世の中に様々な方のチャレンジを紹介しよう
とゲストの方を選んでいます。また、この活動を応援してくださっているサポーター様のために
冊子を作って送付もしています。
ネットをお使いにならない年齢層の方もいらっしゃるので。阿部:少しずつ、僕たちは啓発からと思っていて、
実際以前よりいろんな意味で障害というのが認知されてきたと思うのですが、
理解できない人もいると思うのでそういう人たちに知ってもらう
ってところから始めていかないといけないなっていうふうに思ってるし、
こういう活動ってすごく大事だなとも思っています。
当事者の方がやっているっていうのが価値があると思うので
僕たちもやれることはお手伝いできたらなって、
すごく思っています。
そういう意味でもお話を聞きたいなっていうのが
このライブになった(笑)そんな感じです。島本:「どうですか?」って言った時に
あまりためらう様子がありませんでしたけど。阿部:基本僕、あんま断らないので。
できる範囲で責任を持って、やらせていただくことを心掛けてはいるんで。
緊張してますよ。それでも。全然余裕をもってやってるわけではないので、
どんなことを話そうかなっていうのはありますけど、
趣味ってわけではないですけど、こんな時間を頂いて恐縮ですね。島本:流暢にお話をされていて、
あまり緊張の様子も見えないんですけど。阿部:広告代理店の営業というのが
一番最初に就いた仕事でもともと営業マンなので。
学生時代からアルバイトで家庭教師をやらせてもらっていて、
一番最初に担当させてもらった19歳で担当した子供が自閉症で不登校、
そこがご縁かなって思うんですけど、
そういった知識が全くないまま最初に家庭教師を2時間やったんですが、
2時間、彼は一言もしゃべることなく、シャーペンも動かすことなく2時間終わっていました。
どうしようと勉強っていうよりは、
障害の前にまずは人間関係だと思ってるので、
まずは彼が興味を持ちそうなものを部屋の中から探したり、
僕が今日、経験したことを話したりとかっていう事を2回目、3回目ぐらいまで続けて、
たまたま「信長の野望」っていうゲームが
ちょうどその生徒さんにはまったんですよね。
それから話してくれるようになって。
そんなところから始まって、教育の場的には言うんですけど、
ベースは広告代理店の営業なんで、ほっといたらしゃべります。
間もあんまり好きじゃないので、東北弁ですけどしゃべります。
そんな感じです。島本:私はどちらかというと、障害の影響か?
専門職の方に聞くとちょっと影響してるかもしれない、
と聞いたことがあるんですけど、情報処理の時間のために
ちょっと間が開いてしまうことがありまして。
周りの人からすると、間があると、「えっ!今何考えてるの?」
と指摘を受けることもたまにあります。阿部:そこは人間関係作っていく中で知っていただいて、
という感じですよね。そこも島本さんとしては念頭に置いてこのライブの場、
っていうのをいろんな人がいるんだよっていうのを伝えながら
っていうのもありますよね。島本:今も言ってしまうことで、
見てくれた人は知ることになるので。
ご容赦願いますという感じです。阿部:先手を打ったってことですね(笑)
福島県ローカルの広告代理店で営業マン時代を過ごされ、福島県内で、セミナーイベントを企画して、
最近は、放課後デイサービスの開設をお願いされることがあり、
関東圏をは動き回られているそうです。
阿部さんの活動 放課後等デイサービス開設のサポート
阿部さんはどういうことをされているのか。
放課後等デイサービスは法人でやらないといけない事業なので、
クライアントに応じて、要件を満たすように法人化するお手伝いから始まり、
事業展開したい地域(だいたいご自身たちが住んでる近く、
行政区でやりたいというのが多い)で場所や具体的に仲間と一緒に探し
更に、許認可事情で指定を受けないといけないので、
事務処理系を組んでいる人に任せる。
更に、実際にどうやって過ごすかという枠組み作り、
実際に働かれる方の募集やご紹介、
来ていただくお子さんたちの募集まで
トータルでされています。
場所によって、こういう風にやりたい!
という人もいれば、やりたいんだけど、
どういうものが必要かな?
などいろんな形があるそうで、
そのお手伝いをする形で設立にフルに関与している感じ
始まって実際に利用者さんが集まって始まっていく中で
ご相談があれば受ける。
また、学習塾の運営もやりながら、
いろんなスクール的なもの、
福祉事業所施設だけじゃなくて学習塾をはじめとして
教室形式の仕事のお手伝い、生徒さんの募集で
アイディアを考えているので、こういうのやったらというように提案もされるそうです。
つまり、開設をお手伝いするコンサル的なお仕事
厳しい業界の現況
阿部:よろしくない業者さんなんかもあったりして、
いろんな意味で事業継続していくための要件が
現状厳しくなってきているので
なかなか厳しい環境にあると思います。島本:そうなんですね。
阿部:最初はもういろんな事業をやってる異事業の方たちが一気に手を出して、
言葉はよくないですけど、お金になる事業として展開されてましたけど、
だんだんそういう訳でもなくなってきて、
キチンとやってないと継続できない事業になってきたので、
そういう意味では専門性があり、しっかりした人材がないと
続けていくのが難しい事業にはなってきたと思いますね。島本:いい方向に成熟してきた感じでしょうか。
阿部:ただ、真面目にやっていてもキツいので、
もうちょっと余裕があれば、子供たちに提供するサポートに注力でき、
コンテンツがしっかり作れると思うんですけど。
みんな運営、経営するところで手一杯な感じだと思います。
どうやったら続けていけるか、継続していけるか
というところに視点がいってしまうので、
経費を安く抑えなきゃいけないとか
苦労は絶えないかな~と思いますね。だから、私もお手伝いさせてもらうんですけど、
せっかく作った施設でもつぶれちゃうと、
お子さんたちの行くところがなくなっちゃうので困ります。
そういうことを念頭に置きながらお手伝いしている状況ですね。島本:子供自体が少なくなっている状況の中ですから、
結構難しい面があるでしょうね。阿部:そう思います。
一回できたものは潰さないように頑張っていかないと、
しょうがいないですね。
「多様性」を大切にする想い
島本:さっきNPOの話をしたんですけど、
思いとして多様性のあるというような文言がみられたんですけど、
私も多様なことを大切にしたいなと思っているので
そういう考えが阿部さんのどういう経験からきているのか
教えてもらえますか?阿部:「多様性」について考えることになった経験
っていうことでいいですか?島本:はい。
阿部:多様性って障害福祉事業、
子供たちが関わる事業に関わり始めて
最初は知識は全くない状況から関わっているので、
大学で例えば心理学を学んだり、発達学を学んだりとかってことは一切ない
福祉の世界に全くいなかったので、
関わって初めて診断名も含めて後付けでいろいろと勉強していく中で
例えば「自閉症」って診断がついてもみんな同じってわけじゃないんですよね。
子供たちって。
重複障害っていろんなものが重なってる場合もあるし、
シンプルに自閉症の場合もあるし、
ただそこに性格や生育環境
いろんなものが複雑に絡み合って
人格としてできあがっていくものなので、
診断がついたからこうしなきゃいけないとか、
これは絶対いいよっていうんじゃなくて、
その子にとって一番いい選択肢を見つけられたらいいな
っていう意味での多様性なのですよね。障害の有無ではなくって、個人、人間として関わっていく中で
この子にどんなことができるか、
この子にはこういう事ができる、
この子にはこういう事ができるっていうのを見極めていく意味での多様性
というのを捉え方をさせてもらって活動させてもらってるので、
ありがちなのは特定のツールだったり、特定の考え方が全て正しいんだ!
というのではなく、療育も教育も保育も正解はないと思っているので、
我々支援する側も多様性に合わせて考えていかなきゃいけないし、
支援者同士の多様性もお互いに共有しないとより良いものは作れないよね、
という多様性を一番大事にしています。
ってお答えになってますでしょうか?島本:ありがとうございます。
OKです。やっぱり教育者、教育の場でやってきた、
というのがバックグラウンドにあって
人、一人一人をきっちり見ていきたいという思いが
強いのかなと感じたんですけど。阿部:そうですね。はい。
ちょっとサポートしてあげるだけで、
こんなこともできちゃうんだよ、とか
特に勉強の正解だと数値でしか見ない、
成績表とか点数とか、数値化できるところを
評価の対象とする大人が多いわけで
実際そこの部分の力を育てるためには
もっと違うところを見ていかなきいけないんだよ
というのを提案しながら、
皆さんにそこの部分を理解していただいて、
その後で子供たちの評価できる部分っていうのを見て行って欲しいなっていうのがあるので、
保護者の方の茶話会とかに参加させてもらって、
実際に何に困ってますか?と、伺うと
最初は友達の人間関係とか、
学校に馴染めないんだよねとか、
切り替えがむずかしいんだ
っていう障害特性の相談をされるんですけど、
だんだんそれが成長とともに解決してくると、
次に心配してくるのは学習なので、
みんなそこに視点がいくっていうところがあるので
大事にしていかないといけない力っていうのは勉強で教えるんですけど
勉強だけじゃないよってことで、学力を身に着けるにはもっと大事なこともあるんだよ
っていうのを話をしていきながら最終的にはみなさん自立に向かって楽しく生活できる、
生きづらさが少しでも改善できるような環境だったり自分自身になってくれたらいいな~
と思ってるんで、そういったところの根本的なバックアップを含めた学習支援とはいえ
そういうところを見た考え方で動いております。島本:熱いですね~
阿部:熱いとは言われます(笑)
島本:(笑)
子育てに垣間見える阿部さんの原点
阿部:うち高校1年になったばっかりの一人息子がいて家族二人なんです。
うざいときはうざいですけど、いないとやっぱり困る。
で、それこそ不登校で学校中3と、
小6の大事なところを学校に行かなかった息子なんですけど、
それでも通信高校に決まって、
決まったら生活が安定した。朝ちゃんと起きて、いろいろ1日机に向かって、
ま~何やってるか分からないですけど、
座って、夜になるともうそろそろ、
彼はゲームの時間なんです。
ゲームの時間になると全く相手をされないんですよ。(笑)
2時間って決まってるんで、
9時から11時までは2時間それこそこんな感じでオンラインで
友達と話をしながらゲームをやってる、
それが彼の中での外の繋がりだったり友人との繋がりで、
僕のこういうzoomと一緒だと思うんですけど、
相手にされない時間がきて、それでも今でもたまに
11時ぐらいに終わった後一緒に寝たりするんですよ。人は嫌いではない。
ただ時には一人でいたい時もある。
ただ楽しく過ごせる時間が持てるっていうのは、
どなたかと繋がっているからこそだと思うので、
今回のこういうご縁を大切にさせて頂けたらな~と
お話しながら改めて思っています。リアルでもうちょっと会うことができるようになったら、
僕もいろんな地域に行って、いろんな方とお会いしたいと思うし、
そんな仕事もしたいな~って思っているので
ぜひぜひ兵庫にもお邪魔して。島本:息子さんのお話に興味を持ったんですけど、
学習の支援をされるようになったタイミングと
息子さんが不登校だったタイミングは
リンクしているのでしょうか?阿部:全く被ってなくて彼がまだ2歳3歳の震災前から
僕は塾をやっていて、彼をお腹に授かった年に
有限会社を作って、半年後に学習塾を出してたんで
彼の存在と僕の仕事とはそんなにリンクはしてないんです。
だいぶ早い段階から夫婦の間で
一般的にいう別居というのがありまして、
僕が教室に彼を連れて教室でおむつ交換とかして育てたので、
僕の仕事場には必ず彼がいて
そこに来てくれてる子供たちも保護者の方たちもそうですけど、
ちゃんと受け入れてくれて、お昼寝の時間になると、
みんなで机の椅子を集めてくれてその上に長座布団を敷いて
簡易ベットを作ってくれて。そこに寝かせて僕らは普通に勉強したりとか自習で来てる子たちが
ちょっかい出して構ってくれたりとか、
僕だけでもないし育ててる環境としては実母もいて
おばあちゃんもいたりしたけど、子供がいる環境
お兄ちゃん、お姉ちゃんがいる環境ではずっと育ってきているし、
彼が学校に行かない事については理由があるので
理由はちょっと僕たち大人が関わってしまった理由もあったりするし、
彼が人間関係の中で行きづらくなったというのもあるし、
無理に学校に行けっていう考え方ではない。
学校に戻すっていう考え方でももともと仕事上ないので、
外でね「いいんですよ、お母さん学校に行きたくなかったら、
別に行かなくていいし、行かないなら何か代わりになるもの、
その代わりに何かこう神経注げるものがあったらいいんじゃないですか?」
って話してるので、まさか自分の子供だけに「おまえ行けよ!」
とは言えないので、同じです。それ言ったら、多分息子がほかで言ってくると思います。
「あいつは嘘をついてる。」って。
「外ではいい事言ってるけど、
うちでは学校行けってうるせぇんだけど」
みたいな話になっちゃうんで。
そこは当然外もうちも顔は一緒です。
感情が入るので、息子には勉強は教えられません。
プロとして言っちゃいけない言葉、
「なんでできないの。」とか
「なんでこんなのわかんないの。」
教室で生徒に言ったら終わりですからね。
僕たちって。
自分の子には平気でそれを言っちゃうので。
やっぱりそこは線引きして、
それこそ今の塾の別の先生に受験期に教えてもらったり
人権も否定してしまうので、僕が直接教えないように、
そこは線を引いてやってましたけどね。
島本:最後に阿部さんの人間性が垣間見えるエピソードが聞けて良かったです。