1.行政書士廃業について

2018年3月、5年間続けてきた行政書士を

私は廃業致しました。

後で詳しく述べますが、

今後は、雇用される形で働きながら

この活動を続けていく計画です。

実現に向けて、4月から兵庫県伊丹市にある

兵庫障害者職業能力開発校で

週5日のフルタイムで職業訓練を

受けています。

 

要点は以上ですが、

経緯を丁寧にお伝えします。

身体障害者の私が社会復帰できたのは

行政書士の資格と、リスクはあっても
独立開業に挑戦しようというマインド
があったからです。

 

5年間行政書士を名乗れたことで

仕事の内外で多くの人とご縁を頂くことが

できました。

お客様を始め、同業の諸先輩や同期、

他士業の方、そして異業種の経営者様に

多くのことを教えて頂きました。

 

感謝しかありません。

 

では、なぜ廃業を選択したか。

 

生業たり得る収益を安定的に

生めなかったということに尽きます。

過去に、「チャレンジドが

自営業を成立させるコツ」
というテーマで

話をしたことがあります。

稼げた時期もありましたが、
結果的には勇み足の企画だったことを
立証してしまいました。

ですが、この廃業経験も今後の私を形成する

大切な糧になると思っています。

 

さて、私は現在40歳。

したいこと、できること等

諸要素を踏まえて多面的に今後の人生を

見つめ直しました。

その結果、行政書士ではなく、

障害者雇用の道で安定した収入を得る

ことを優先することにしました。

今すぐではないですが、

AIの普及など労働環境は近い将来

変化していくでしょう。

他方で、雇用されながら活動することには、
時代の追い風が吹いています。

そう、副業を容認する流れが
できつつあるからです。

昨年9月より

障害者就労の現状を検証するため、

行政書士の仕事をしつつ、
パートタイムで障害者就業継続支援A型事業所で

就労経験を積みました。

一日4時間強、月に20日程度、
約7ヶ月間継続しました。

ここで、障害者として就労に適応できると
確認できました。

雇用されることに伴う不安が消え去ったことは

大きな収穫でした。

この貴重な経験が、廃業の決断を後押ししました。

2.今後の活動方針

話は変わって活動について。

この活動は私のライフワークであり、

雇用されても、決して止めることはありません。

就業時間外にコツコツと続けます。

更に、将来的には、生活の糧となる

収益が見込める程の独立した事業に育てたい

という夢があり、心静かに決意しています。

したくてできることはすべきことであり、

それで社会の役に立てるのであれば、

使命であると思っています。

今は資金支援してくださる皆様のおかげで

活動が続けられています。

しかし、将来にわたって活動を続けるには、

不安定な事務所経営に代わって雇用されることで

安定を得て、余裕をもって
活動の新企画にも投資していきたいと考えています。

 

とはいえ、就労が順調にいくのか?

条件に合った就労先が見つかるか、

士業での開業経験があり、組織としては
扱いにくい人間に映る可能性があるので、
うまくいくかはやってみないと分かりません。

先へ進むにはフットワークが必要です。

迷ったら行動!です。

さて、活動の現状を確認させていただきます。

 

(1)主催イベント等対面での情報発信

主催イベント「バリアフリーサロン」
を概ね季節ごとに開催していて、今後も継続します。

また、ご縁を生かして講演の機会も積極的に

つくっていきたいです。

次回の主催イベントは8月5日に開催が決まっています。

お知り合いもお誘い合せて是非お越しください。

 

(2)ネットでの情報発信

私の活動は(1)と(2)
による情報共有が柱です。

ネットによる情報発信は次の2つが

変更点になります。

①チャレンジドの視点と地域性を打ち出したWEBサイトの開設

ところで、訓練学校の通学により、

私の生活スタイルが変わりました。

これまでのように、活動に十分な時間が

使えなくなっています。

よって、このサイトの開設は

時間的なゆとりをいただき、
年内にオープンできればベスト程度に考えています。

なお、このサイトでは、私がこれまでにご縁を頂いた
チャレンジド関係者に、情報発信者として参画して頂き、

その情報発信に対して報酬を支払います。

準備は少しずつ進めていますので

随時ご報告いたします。

②メルマガの整理

2種類発行してきました。

一つは、「チャレンジド通信」という

メールマガジンです。

月に1回のペースで、
ブログ記事の紹介と

活動報告をしてきました。

もう一つは、「by the challeged」
という週刊メルマガです。

障害当事者や支援者等の

チャレンジド関係者に
私がインタビュー取材して、

その模様を対話形式で掲載しています。

お届けはサポーター様限定でした。

 

この2つを「challenged-view」という

1つのメルマガに統合します。

活動をシフトチェンジする良いタイミングなので、

より分かり易く、よりオープンな形に

衣替えさせていただきます。

つまり、読者をサポーター様のみとする

限定は外します。

また、発行は不定期とさせていただきます。

 

私の生活状況を勘案すると、

10日に1本程度の発行になりそうです。

 

更に、取材対象者を広く求め、

チャレンジドに限らず積極的に社会的な活動を

されている方にも取材していくつもりです。

サイトの開設後は、ネットによる情報発信は

このサイトに集約していきます。

私のブログ記事も整理して、

このサイトの一部として組み込んでいきます。

私の情報発信の柱はインタビューです。

しかし、相手は誰でもいいとはなりません。

インタビューしたい人に常時出会うのは

現実的な話ではありません。

そのため、インタビュー活動はどうしても

不定期になります。

インタビューのデータが揃えば、前述のメルマガ

新生「challenged-view」で配信するか、

ブログ記事にしてそのお知らせをメルマガで出します。

インタビューは、アーカイブとして

記事形式でブログにまとめて掲載します。

これもサイトの一部を構成するという流れに

なります。

どうか今後とも私の活動を応援して頂きますよう

よろしくお願い申し上げます!

3.現在の私の生活

廃業の経緯と今後の活動方針をお伝えしましたが、
現在の私について少々。

2018年4月、行政書士から一介の学生になりました。

学校は兵庫県伊丹市にあります。

正式名称は、

『国立県営兵庫障害者職業能力開発校』

(以下「訓練校」)です。

身体、知的、精神の障害者約100名が

日々スキルアップに励んでいます

一般の人に広く知られてはいないと思いますし、

私と同じように障害者雇用の道を目指す

人のためにも、少し詳しく記載します。

前述のパート期間に雇用保険に加入して

いましたので、雇用保険法と雇用対策法

という法律を根拠に、何と学びながら

手当をいただいています。

日額\4,310です。

公金をいただきながらスキルアップができます

ので、疎かな気持ちなど微塵もありません。

真剣です。

障害当事者がこの制度をうまく活用することで、

一般就労していく。

そして新たな納税者になる。

この循環は、よく考えられていると思います。

この訓練校は就職に強いと言われています。

・県という公的主体が運営している

・ハローワークと密接に連携している

・企業の訓練校に対する信頼が厚い

などです。

具体例として、指定校求人という仕組みを紹介します。

企業が訓練校の生徒が欲しいと

訓練校の生徒のみを対象にして、

ハローワークで公開しない求人を出してきます。

この仕組みでは、

求人があったら、希望する生徒が

採用試験にエントリーするという流れと、

①訓練校が人材リストを作成し、企業に開示
②①を見た企業から、
「この人に採用試験を受けてもらいたい」
というオファーが来て生徒がエントリーする、

この2つの流れがあります。

 

更には、各市町村にある支援機関と連携し、

就職後の定着支援までします。

そんなこともあって、

毎年約100名の内、就職率、5年定着率とも

9割近いそうです。(訓練校の就職支援員の話)

私はグラフィックアート科に入りました。

倒れた当時、私は資格スクールで

簿記の講師をしていましたので

それに必要な資格は取得済みです。

あれからブランクがありますが、

仕事に必要な計数感覚には

自信があります。

また、各種資格も積極的に取得してきました。

・PC関係(ワード、エクセル)

・無論、行政書士

法学部出身ではありませんが、行政書士の

経験を通して法的素養はあります。

グラフィックデザインという、
自分にないものを求めての学科選択でした。

障害者に対する、高い専門性を要求する求人は
絶対数が少なく、多いのは一般事務等です。

労働市場全体で見ると、事務職の求人は
減少傾向ですし、AIが普及すればリストラ対象
になる部門だと思います。

しかし、障害者に限ると、

少し違うと分析しています。

経営的に見ると、そもそも事務職という
スタッフ部門は企業にとって利益を生まず、
コストとして見られます。

しかし、ここに障害者雇用促進法に基づく

法定雇用率の制度が入り、

ある規模以上の企業はその率の

障害者の雇用を義務づけられています。

大企業では特例子会社の制度を活用し、

自社の事務の仕事をグループ企業である

障害者中心の特例子会社に外注して

雇用率を充足するという形ができています。

AIが普及しても、社会的にこの部分を

リストラの対象にするのは経営判断として

勇気が要ると思います。

よって、長期になると分かりませんが、

中期的には雇用は確保されると見ています。

その間に私は更にスキルアップしつつ、

活動を育てます。

一方、すぐに専門性の高いところを目指す場合、

(健常者も含めて)それをやりたいという人との

厳しい競争に勝たねばなりません。

私のやりたいことはこの活動であり、

仕事は糧を得るための手段と割り切っています。

さりとて、仕事に対しては真摯かつ誠実に臨みます。

ですので、仕事で自分が更に成長できると思っています。

以上のように総合的に考えて、

簿記・PC・法律・デザインまでできれば、

経理、総務から営業、広報部門等

様々な部署で働ける汎用性の高い人材に

なれると考えたのです。

就活に必要なことはスキルだけではありません。

嘘をついてはいけませんが、採用担当者に

「この人となら一緒に働ける、働きたい」と

思って貰わねばなりません。

あえてスキル的にいうと、コミュニケーション能力、

平たく言うと、人柄の部分が大切になります。

人柄を変えるのは難しい話ですが、

パート時代に、

障害者として支援を受けながら働いた経験は、

私の人生における

転換点の一つになったと思います。

従前持っていた

「仕事は健常者と同じレベルでこなす必要がある」

という力みがなくなりました。

自分の限界を知れたのです。

 

周囲にそれを伝え、協調して業務遂行することが

障害者の場合特に大切だと、
障害者として組織の中で初めて働いたことで
知れたのです。

障害者ばかりの訓練校の環境も、

私にとって成長のチャンスと捉えています。

様々な障害特性の方がいますので、

今自分はどういう配慮ができるか、

独りよがりにならず、全体の和、

皆の役に立つことは何かを考えるように

しています。

自営から組織に本格復帰するためのリハビリ

をしている感じです。

一方、全員が障害者ということで

ここでの時間は、活動における

情報発信の表現の幅を広げてくれている

とも感じています。

訓練校への通学は、朝8時前に家を出て、

18時前に帰宅です。

夕食後は0時頃まで、これまでと変わらず机に

向かって活動の資料づくりや諸々の知識吸収に

時間を使っています。

私にとって寝不足は大敵ですが、

程よく疲労しているためグッスリと良質の睡眠が

とれているようで大丈夫です。

この様な日々を、本格就労に向けた

「リハビリ」と位置づけて、
私は毎日を過ごしています。

この1年間の在校期間中に就職することが

必達目標です。

待遇面は、欲よりも、

最低限生きていければいいというスタンスです。

その他の条件としては、自営業時代に

社会保険料で苦労もありましたので、

年金・健康保険の加入は必須です。

40歳を迎えたチャレンジドとして、

現実的に生きていきます。

当面、活動のペースは手探りになりますが、

信念は揺るぎませんので、温かく見守って

いただけると幸いです。

投稿者プロフィール

島本 昌浩
島本 昌浩
バリアフリーチャレンジ!代表
challenged-view編集長