私たちが最初にできることは「知ること」

電車の座席の譲り合いを例に

過去にいただいた駒形さんからの寄稿や駒形さんとの
メールでのやりとりを参考に今回は記事を構成しました。

今回の構成を考えていて
駒形さん以外の腎不全の方との会話
を思い出しました。

「身体が辛くて電車移動は大変」という話です。

食事制限や透析をされている場合、
かなり大変なのだと思います。

分かりやすくするために、
倒れてから車椅子を利用するまで
私が電車に乗る場合どうだったかを書きます。

当時はリハビリも兼ねて、
杖歩行で乗っていました。

この場合、最初から座らないと
揺れに対応できず転倒してしまいます。

扉が開いたら急いで空いている場所に向かいます。
仮に座れなくても、杖を持って明らかに
足どりがおかしい私を見ると、
どなたかが席を譲って下さいますし、
手を貸してくださる人もいました。

私の肌感覚では、9割以上の確率で
助けて頂けました。

なお、車椅子ごと乗った方が迷惑になりにくいし、
自分も安全と検証できたので、
現在は、車椅子で電車に乗っています。

リハビリも兼ねて乗っていた頃、
座らないと転倒して
かえって迷惑をかけてしまうので、
譲る人が出ない場合は、
私から「座らせて頂けませんか?」
と申し出ていました。

弱者に譲ろうということはアナウンスされますが、
弱者の側も必要ならばお願いする姿勢が必要と考えます。

どちら側からでも良いのできっかけとなる言葉を発し、
「座席がないと困る人が座る」という結果を得ることが大切です。

健常者でも、しんどくて座っている方は
当然いらっしゃいます。

その場合は、他の元気な人に期待でよいと思います(笑)。

この電車の話で内部障害特有の苦労が印象に残りました。

私の障害も不自由ですが、
隠しようがないので、開き直っています。

このような内部障害者の辛さを軽減しよう
とする取り組みを紹介します。

内閣府のホームページに色んな障害者にまつわるマーク
が紹介されています。

腎不全の方も含め、内部障害者であることを表示する
「ハート・プラス・マーク」というのがあります。

しかし、提示しても現状は効果が期待できません。

私自身これを提示している人を見たことがありませんし、
提唱されている「ハート・プラスの会」に
電話で問い合わせたところ、電話口の方は
「これを見ても電車で席を譲ってもらえるほど認知されていません」
と回答されました。

 一方、「オストメイトマーク」はトイレで結構見ます。

しかし、オストメイト(人工肛門、人工膀胱)の方ための
設備があっても、マークのないトイレもあり、
「やるなら徹底的にやろうや」
と思ったことがあります。

他にも、類似の目的を持つマークとして、

妊婦であることを示す「マタニティマーク」
というのもあります。

私は公務員を目指していた時期にこういう勉強もしましたが、
どれかご存知でしたか?

「初めて知った」ということなら、
これを機会に頭の片隅にでも置いて頂けたらと思います。

というのも、認知度さえ上がれば、
この取り組み自体は有効だからです。

 もう少し掘り下げてみます。

勇気の代わりになるマークの実効性を高めるには?

マークのデザインは悪くないですが、
杖を実際についている人やどう見ても後期高齢者という人が、
電車内で近くにいる場合に比べるとインパクトが弱い。

字情報があるものがいいと私は思います。

出して構わないという人は病名まで出し、
場面に応じた文言を入れる。

勿論、マークの力だけで
電車で席を譲ることを強制はできないです。

譲る側に気持ちがあっても、
行動に移せない場合や譲ってほしいことを
私のようにすんなりと声に出せないなど
少しの勇気のなさを埋める工夫です。

開き直れる人はマーク+文字入りのデザインを選べば
実効性が高まるはずです。

簡単に入れられる文字情報により、
まずはマークの取り組みの認知度を上げることが現実的です。

 このようにマークが持つ意味を知ってもらうことが
必要なのですが、前提として更に大切なことがあります。

それは、疾患についての理解を深めることです。

これがないとマークが定着することはないでしょう。

どういう疾患があるのか、
そして疾患に付随する辛さを知る。

その上でのこの人は辛い状況にいて、
助けが必要かもしれないという話です。

そうでなく形から入っても失敗するでしょう。

私たちが最初にできることは
このように「知ること」
です。

 

投稿者プロフィール

島本 昌浩
島本 昌浩
バリアフリーチャレンジ!代表
challenged-view編集長