人の意識を変えていくソフト面のバリアフリーの実現が実は最優先課題だと思う
新しい建物であれば、バリアフリーになっているでしょうか?
私の経験の範囲内で言うと、答えはNOです。
関連する法律としてバリアフリー新法(←クリックすると、概要説明のページが見られます)というものがあります。
駅などの交通施設については、一日の乗降客数3,000人を基準に平成32年までに原則として整備するという方針ががあり、
既にバリアフリーになっているところが多いです。
他方で、交通施設でない場合、建物が新しくてキレイであっても、バリアフリーでない例はまだまだあります。
過去に大学などの学校で私は講演をさせて頂いたことがあります。
学校のキャンパスもハートビル法が規定する不特定多数が利用する建造物に該当します。
新しくてとてもキレイな学校でも当事者目線で言うと扉など惜しい点でバリアフリーと言えない例がありました。
学校関係者とそのことについてお話するチャンスはありませんでしたが、
講義中に具体的なバリアを学生に話したところ、アンケートには、
「てっきりバリアフリーだと思っていた」や
「この学校ももっとよくなればいいのに」
という声を頂戴しました。
このような部分で当事者が発信していく意義があると思っています。
後者について言うと、「いいのに」では変えていくには弱いです。
考えるきっかけにはなったかもしれませんが、健康な学生たちの中から
現状を変える行動が起こるよように、
まずは、私自身あちこちで、「この方がいいと思いませんか?」と
効果的に問題提起していきたいと思います。
■バリアフリーとユニバーサルデザインの違い
さて、このように、私は「誰もが暮らしやすい世の中を実現する!」
という思いで、『バリアフリーチャレンジ!』という活動をしています。
ここで、知識のある人は「ん?」と思われるかもしれません。
上記の私の想いをストレートに表す言葉は“バリアフリー”でなく、
“ユニバーサルデザイン”だからです。
少しだけ眠い説明をお許しください。
「バリアフリー」は障害者・高齢者に代表される、
いわゆる社会的弱者に配慮して、バリアをなくし、
過ごしやすい環境にするという発想です。
他方で、「ユニバーサルデザイン」は弱者のみでなく、「誰もが」過ごしやすいように、という発想。
普通に読めば「ユニバーサルデザイン」がいいですよね?
私もそう思います。
ただ、「誰もが」ということは年齢、障害、国籍等論点が多岐に渡ります。
一気に対応できる知恵があればいいですが、足し算的になるとお金は有限という問題に直面します。
効率的に整備する必要があります。ここに私が『バリアフリーチャレンジ!』
と言っている理由があります。
つまり、「ユニバーサルデザイン」にするための一里塚として「バリアフリー」の発想が生きると考えているのです。
「ユニバーサルデザイン」への近道は、現状の短所をつぶしていくことです。
設備の使いにくい部分(現状の短所)を一番知っているのは、私たちチャレンジドです。
だから、まずはバリアフリーからと思われませんか?
ユニバーサルデザイン実現のための手段として、バリアフリーの視点が有効
その中でも現状放置すると危険なところを優先し、かつユニバーサルに繋げていく
という視点を持って整備を進めれば効率化が図れます。
バリアフリー整備においては、ちゃんと知識を持った人が当事者の声を反映しないとバリアフリーでないものができあがります。
よって、
最優先課題は、正しい知識を啓発するソフト面のバリアフリー。
設計の専門知識の無い身体にハンディのある私が実際の工事を担うことはできないので、このソフト面で貢献してます。
そのためにしているのがネットや対面での積極的な情報発信です。