インタビュー実施日:2020年2月18日
多様なスキル、知識を融合させてケアの仕事を確立したい
―今はどういう感じのことをされていますか?
(あなたこなた)
鍼灸の専門学校生でもうすぐ3年生になります。
通学と並行して、週の大半はドラッグストアで勤務しつつ、週末にカイロプラクティックや整体の施術をしています。
加えて、毎週の島本さんの入浴介助の他に、月に1〜2回ヘルパーとして訪問介護もして生活をしています。
―今聞いただけでもいくつものことを同時並行でされていますね?
(あなたこなた)
そうですね、手を広げていると見えるでしょうね。その中で時間的に言うと、メインはやはり学校ですね。
―時間ではなくて、重視しているのは?
(あなたこなた)
全部必要なこととしてやっているので、全部ですね。なにか一つというわけではないですね。
―優先順位はつけられない?
(あなたこなた)
そうですね。全部を並列融合していくところが目的地になっている感じです。
―並列融合していくことで何を目指しているのですか?
(あなたこなた)
ケアの仕事をしっかりと確立できたらというのが一つありますね。
―それは身体をメインとしてですか?心身ともに?
(あなたこなた)
身体と心と、あとは居場所。社会システムの中の一部分としての居場所というところは、
昔から日本人は考えてきたところだと思っているので、そういうところで関わっていきたいなと言うところですかね。
―社会システムの一部としての居場所というのは?
(あなたこなた)
例えば、学校でのいじめだと、いろいろな要因はあるのですが、そのひとつに、その人の居場所を認めたくないので排除しよう
という心理的な働きがあると言われています。そういうところに対して、その子(ターゲットになってしまった子)は、
学校以外で居場所があれば、生きていける。
―そういう排除されている人のための居場所を作りたいということですか?
(あなたこなた)
必要であればそうなります。
また、クラスの中で排除されようとしている人を変えていくことで
今の居場所に馴染んでいくことになるというのも一つです。
後者であれば、カウンセリングのアプローチが有効です。
前者であれば、ソーシャルワーカーさんがやっているようなお仕事に近いのではないかと思います。
―今お仕事としてされている(していこうとされている)鍼灸や整体また薬の販売等もそうですが、
それらをツールとして、その人にアプローチをして行くということですか?
(あなたこなた)
そうですね。クラスに馴染もうとしたときに、例えば身体が弱いからできないとか、
体力的にできないケースは、鍼灸や漢方も使います。
そうではなく、心の問題でであれば、心理学でアプローチができます。
居場所ということであれば、学校の先生やスクールカウンセラーなどへ働きかける。
色々なアプローチがあると思うので、できるだけフォローして、できないところを減らしていく。
自分の手でできる範囲を広く持っておきたいというところですね。
―そういうところに関与していきたいと思ったきっかけはなんですか?
医師免許なしでどこまでできるか
(あなたこなた)
何なんでしょう。昔からあったんだろうと思いますけれど、結局、島本さんには介護の中で
直接お話させていただいたことがありますが、医学部に落ちてから、
医師になってやってみたかったことを、医師免許なしでどこまでできるか
と切り替えて、今少しずつ実践しているということです。
医師免許があれば他の免許を取らなくても全部できることなので。
医師になってやりたかったことがそもそもなんなのかという話になると、
幼少期の体験や、周りの環境、まぁ小さい頃からの生育歴でこうなったんかなと思います。
あまり、凄腕の外科医になってというイメージよりは、こういう仕事がしたかったのは昔からありましたね。
―医者がこういうことをしているイメージが僕の中にあまりないんですけど?
(あなたこなた)
そうなんですよね。今の医者に関してはそういうイメージはないんですけど、
要はかかりつけ医や、地域に溶け込んだお医者様って、昔はこういう仕事を全部じゃないけどある程度していた
と思うんですよね。それが今その姿がないので私がやりたいというのがある。
―確かご家族にお医者さんがいらっしゃいましたよね?
(あなたこなた)
父と祖父が医者ですね。
―お父さん、おじいちゃんが今おっしゃったそういう町医者という感じだったんですか?
(あなたこなた)
父は全然違います。祖父はそれに近かったみたいで、そっちに対する憧れはあったと思います。
―そこから影響を受けたのですか?
(あなたこなた)
そうですね。そういう感じは、今思い返すとあると思います。
―色々なツールというか武器となるスキルを今身につけていっていらっしゃいます。
(あなたこなた)
なればいいなと言う感じで(笑)
―いろんな方面のことをやっていますが、
どれが一番最初だったんですか?
(あなたこなた)
医学部落ちてから、じゃあ、医師免許無しでやろうと一番最初に入ったのは介護の世界ですね。
―医学部じゃない学部で大学に行って、普通に大学を出た?
(あなたこなた)
そうです。医学部を2回目指したというか、1回目は高校を卒業した現役時で、
そのときは、医学部を目指せるほどのレベルではありませんでした。
ですので、挑戦とは言えないものでした。結局、そのときは農学部に入ったんですね。
農学部系に入って、サプリメントの機能性の成分に関する研究室に入り、
ちょっと医学部よりっぽいことをしつつ卒業した。
その後働いて、30前でやっぱりもう一度挑戦しておきたいと思い、医学部を再受験しました。
そのときは3年続けて受験を頑張りました。結果は、補欠合格が一つで合格に至りませんでした。
そこから切り替えて、受験生活を切り上げて働かないと、と思い、ハローワークに行った。
ちょうど介護の初任者研修をするというお知らせが。すごく安かったんです(笑)。
8千円位で受けられました。普通は初任者研修でも10万円位するところが多いので。
親の介護もいずれいるし、人足らずの業界だと知っていたので、
働きやすいだろうと考えて、まず、初任者研修を受けた。
そのタイミングで祖母の介護が必要になった。せっかく取ったしと祖母の介護をしつつ、
勉強も兼ねて特別介護老人ホームで働き始めたのが宝塚に移ってきた経緯ですね。
―そこから他の分野にどう繋がっていったのですか?
(あなたこなた)
整体の方はその時点で私自身が患者として受けていたんです。民間団体なので、リクルートの動きもあって、
そこで誘いを受けて講習に行って、働けるような民間資格を取って、整体が次です。
その次にカウンセリングの資格を取りたいなと思っていたので、探して、それを申し込んだ。
鍼灸の専門学校にも興味があったのですが、祖母の状態や金銭面等タイミング的に無理だなというのが
何年か続き、今年いけるかもというタイミングになって、通い始めたのが一昨年です。
―実体験を伴いながら、いろいろ勉強していき、
これ良いなというのをどんどん取り入れていかれたという印象です。
(あなたこなた)
そうですね。漠然とこの分野の勉強はいるだろうなというのが前からあって、
それに対してどうやって勉強して、どうやって資格取得ていくかというところで、
養成機関を探して、タイミングが合うものから取っていった感じですね。
―おばあちゃんの介護が必要になったというのは偶然ですか?
(あなたこなた)
偶然です。
―それとは関係なしに自分の中でプランがあってそれに基づいていた?
(あなたこなた)
漠然とこういうのが必要だろうなというのはあったんですけど、じゃあ順番にどれからしようとか、
どのタイミングでしようというのは決まっていなくて、そのときに可能な選択をしてきた感じですね。
―先ほど少しおっしゃっていましたが、学校で馴染めない子がいるとして、
その子に体力面での不足があるとすれば具体的にどういうケアが可能でしょうか?
(あなたこなた)
体力面の課題の場合、(私の有するスキル、知識内では)
カイロプラクティックか漢方でのアプローチを考えます。
―例として学校でのことを出されたのは、主にそのことを考えているから?
(あなたこなた)
そうではなくて、なんとなくイメージを伝えやすいかなと思ったので、例に出しました。
もちろん、子どもたちの今の状況はすごく心配なところではあります。できれば関わっていきたい。
また、高齢者であれば認知症の方がもっと社会参加できるはずなのに、追いやられているようなイメージがあります。
高齢者に関しては心理と居場所と体力面をサポートすることでもっと変わってくるんじゃないか
という思いはあります。
障害のある方ももっと変わるんじゃないかという思いもあります。
―居場所というのは自分がそういう場所を作っていきたいという感じですか?
(あなたこなた)
私がこういう場所を提供したいというわけではなく、その方自身が自分でこの場所でやっていきたいとなったときに、
それをサポートすることがメインで、それができない方がいたときに、「こっちはどう?」と受け皿が必要ならば、
私も作っていきたいなと思っています。ただ、受け皿をつくるような動きを組織的にされている方は
たくさんおられるので、上手く連携して活動していきたいと思っています。
―必ずしも自分がやらなくてはならないとは思っていないわけですね。
((あなたこなた)
なければ作りたいですが、あればそちらを活用することを優先したいですね。
―自分は一プレイヤーとして、自分の技術を活かしてという方が主にしたいことですか?
(あなたこなた)
プレイヤーになるか、サポーターになるか、マネジメントをするかはその方が何を必要としているかで変わると思います。
やっていくうちに自分の得意分野が明確になり、この人はこっちの得意な人に任せようという関係性もできてくる。
そこは、今の私にはまだ分かりません。今後どういう方たちと関わって、どういう方に橋渡しをできるかは決めます。
例えば、私より腕のいい鍼灸師さんがおられれば、その方に身体のことを任せることも当然出てくるでしょうね。
―実体験であったり、いろいろなことも影響していると思うのですが、今まで多方面でやられていて、
いろいろな人と関わりがあったと思うのですが、そこで影響を受けたエピソードがあれば言える範囲でご紹介いただけますか?
(あなたこなた)
エピソード?
―それがあったから、これをやっていこうと強く思ったとか、シフトチェンジして、これが必要だよなと思ったりとか。
(あなたこなた)
それぞれの業界、分野で活躍されている方がおられて、その活躍されている方とお会いできたり、
直接お会いできなくてもそういう方がいるということを知ることができたり、それは財産になっていると思います。
ただ、私の行動原理に影響している出会いというと、もっと前という感じになりますかね。
大学で出会った合気道の先生です。
―合気道の先生?
(あなたこなた)
正確に言うと先生の先生ですね。
―その合気道の師匠のような人から大きな影響を受けた?
(あなたこなた)
そうですね。選んだ道というよりは、考え方というか、自分の鍛え方というところで影響を受けました。
―具体的には?
(あなたこなた)
難しいんですが、合気道の思想というのが好きで入ったんですけど、本当に体と心、考えは一致する、
それをキチンと鍛える方法があるんだと、合気道に出会って自分が一生懸命やって、確信を得たところがありますね。
ですので、カウンセリングも鍼灸もカイロも別々のものと言うよりは、それらを一つの目的に対して使える
という確信があるのは、合気道のおかげだと思いますね。
―使えるという確信があるということですが、現実問題の展開として使っていけそうですか?
(あなたこなた)
使っていけるだろうなと思います。
その方の状況に対して、自分のレベルが十分かっていう意味での使える使えないはありますけど、
内容そのものに関してはできるだろうと思います。
―今、学校で勉強している時間が長いわけですが、順調に行けば来年鍼灸の資格取得?
(あなたこなた)
そうですね。来年の春に国家試験を受けます。ただ、うちの学校の場合、そこから3〜4ヶ月中国での病院実習留学があるので、
それが終わって帰国してから具体的に自分の生き方、働き方をもうちょっと、
自分の思っているところに近づけていくことができればなと言うところですね。
―それが今後のビジョンという感じ?
(あなたこなた)
ビジョンというには、漠然としていますけどね(笑)
―来年の夏くらいといういうことですね?
そういう流れの途中でご縁を頂いて、今回私の活動において、記事を書いてほしいと依頼しているのですが、
私の活動はサポーターとして既によくご存知でいらっしゃいます。自分に話が来たときどう思われましたか?
(あなたこなた)
興味を持っていただいたということと、
必要と思っていただけたから声をかけていただいた。
私のやっていることが島本さんの活動にプラスになると思ったから声をかけていただいたと思います。
その点は嬉しかったです。サポーターとして応援させていただいてから
ずっと話を聞かせていただいて熱心に頑張っていらっしゃるというのも知っているので、
今までやってきたことでなく、私自身不慣れなことですが、せっかくのご縁ですし、
お力になれるのであれば嬉しいです。
―今、良いように言ってもらったのですが、私の「この人に書いてほしい基準」は、
記事を出すこの活動によって社会の役にたちたいという思いはありますけど、
実際に役に立つかは自分でも出してみないとわかりません(笑)
(あなたこなた)
実際に発信して、リアクション、レスポンスがわからないといのは、もちろんありますね。
―で、書いてもらいたいというのは、実は私が「何か面白そうだなと思えるかどうか」のみです。
今回の場合なんかやってることがよくわからないということから興味を異持ちました(笑)。
(あなたこなた)
よくわからない人(笑)
―動きがよくわからないなというイメージがあって、雑多なことをされているので、
いろいろ引き出しを持っておられるだろうという仮説にたったわけです(笑)。
(あなたこなた)
期待に応えられるように書いていきたいと思いますけど、他のライターの方の記事は
最前線の現場で働いていて、エネルギーを注がれている人の記事でもあり、読んでいて影響を受けるし、
面白いなと思って読ませていただいています。
私の場合は学生でバイトです。そういうところで熱量が分散しているので、
読んで頂く方に同じように興味を持っていただけるかというところに不安はあります。
知識重視的な話がメインになってしまいそうにも思いますし。
もう少し体験から記事が作れると読んで頂く方にも何かしら良い影響になるかなと思っています。
―期待しています。
(あなたこなた)
そこが、私自身できるかなと心配なところではありますね。
本を読んでわかるようなことを書いていても面白くないと思うので。
―元々その分野に興味のある人は本を買ったり、情報を検索したら良いわけです。
しかし、カイロや整体に馴染みがある人が多いかというと、鍼灸も受けている人はわかりますけど、
知らない人も多いと思うので、それはそれで、うちの媒体を通して
届けられれば価値があると思っています。
(あなたこなた)
間口の広さと言うか、いろいろな方向への橋渡しが今後したい活動に共通しているかもしれないですね。
記事を書くことで、こういう勉強をしている人たちがいるということ、こういう分野でこういう考えをしている
ということを紹介することで、皆さんの活動の認識を広げることができたら、私が記事を書いている意味が出てくる
というのは確かにありますので、チャレンジをしてみたいと思います。
(島本&あなたこなた)
よろしくお願いいたします。