車椅子を活用するかは各人の価値観の問題

車椅子についてはいくつかの記事に書いてきました。

1.車椅子を活用することのメリット

本稿では肢体不自由者の移動についての私見と車椅子での外出についてシンプルに述べます。

一昨年、私は電動車椅子を生活に導入しました。
しかし、すぐにフル活用するまでには至りませんでした。

その理由は、

良い先生に恵まれ、若かったこともありリハビリで身体機能がそれなりに回復したこと。

装具と杖を使うことで、少しなら屋外を歩くこともできます。

この能力は当然役立ちます。

ただ、20代半ばでここまで回復できたことで身体機能の回復に執着し過ぎました。

結果的に、(現在の私の価値観である)車椅子を積極的に使い、移動の自立をするという
合理的な決断が遅れました。

社会で生きていくためには、自力で中途半端に歩けることより、
道具に頼ってでも安全に移動できることの方が大切です。

決断するまでの短くない期間、サポートを受けられるうちは家族に頼ることにし、
車で送迎してもらって過ごしてきました。

しかし、そのサポートが公的制度によるものでなく、対価を支払ってのサービスでもない以上、
持続可能性の点で危ういです。

そこで、車椅子フル活用に舵を切ったのです。

ところで、車椅子ユーザーは雨に弱いです。
つまり、梅雨の時期などは外出が大変。

いや、雨天時は電動車椅子の場合、電気系統があるので使用が推奨されておらず外出が難しい。

また、私は健康だった時の就職活動で、
「勤務地はどこになっても大丈夫か?」と問われ、
「寒い地域にはしないでください。そうなった場合は
内定を頂いても辞退します」と即答したくらい寒いのが苦手。

要は、冬の外出も辛い。

ですので、雨天時と冬に限っては
今後もサポートを組み合わせるつもりです。

ということで、炎天下を除く晴れた日の春から秋までは
車椅子での外出を増やしています。

で、実際に外出してみると、色々楽しいです。
やはり、家族とは言え、気は遣うので独力で外出できることは大きいです。

さて、私は慎重なのでできる準備は最大限します。
家族のサポートに頼る時も外出に際しては、
外出先の施設がバリアフリーか、近隣に駐車場があるかなど
ネットで調べるだけでなく、客先や参加するセミナー・研修の主催者に直接問い合わせる等
できる準備はしてきました。

2.電車利用について

ハートビル法と統合されバリアフリー新法となった交通バリアフリー法は、

【1日当たりの平均的な利用者数が3,000人以上の鉄軌道駅】について、

平成32年度までに原則として全てで、段差の解消、視覚障害者の転落を防止するための設備等の整備について、

構造等の制約条件を踏まえ、移動等の円滑化を可能な限り行うものとしています。

私の利用する最寄駅にエレベーターがあるのは確認済み。それでも慎重なので、最初は念のため家族と何回か
乗り換えのあるコースも含め試乗しました。

電動車椅子では前輪を浮かせての単独乗降は、できません。

よって、駅員さんにスロープを用意して頂きます。

 

何度か乗っているうちに生じた疑問について私と駅員さんのQ&Aで得たことをまとめます。

・折り畳み式スロープの重量は2キロ以下と軽量

・路線によっては人員が足りないので急な途中下車はできず、排泄は基本的に我慢→事前の水分摂取量の調整も必要

・乗車位置はエレベーター付近やホーム幅があるところなど便利で安全なところ

・乗車駅と降車駅のどちらの位置が優先になるかは駅ごとの関係でオペレーションがある(対応可能なら希望する位置でもOK)。

・乗り換えがある場合はリレー連絡してくれる

・ラッシュアワーは駅員さんも他の乗客との関係で気を遣われるようです。

 

3.車椅子利用者の更なる社会参加に向けて

上記の気遣いが示すのが車椅子ユーザーのみならず、多くの障害者にとってバリアになる「通勤」の実態です。

在宅で働ける社会の実現が根本的な解決策ですが、それよりは導入しやすい時間差通勤がもっと広がっていいと思います。

これらのことを乗る度に質問して蓄積し、考えてきました。

検索すれば、色々間接的な情報は入手できますが、自分が疑問に思ったことは直接確かめたい性分です。

生の情報に敵うものはないですし、それを対話で得る過程そのものも楽しいです。

ただ、ここを突き詰めると、自分一人で調べられる範囲には限界があるという結論になります。

 

ありがたいことに、車椅子ユーザーで素晴らしい活動をされている方々はたくさんいて、
その情報発信はとても参考になります。

その中のいくつかをご紹介します。

プロが制作している質の高い動画を集めたこちらの活動は車椅子ユーザーのみならず介護者の方なども必見です。

車椅子ウォーカー

行ったことのない場所のバリアフリー情報が手軽に入手できれば本当に心強いです。

しかし、現状、情報の集約はまだまだ進んでいません。

この状況に一石を投じるべく、アプリで解決策を提示する動きがあります。

リリース順に株式会社ミライロと日本財団が手掛ける

Bmaps

もう一つは前述の車椅子ウォーカーの代表である
織田友理子さんらによる、

みんなでつくるバリアフリーマップwheelog

実現していませんが、私は一時期織田さんにインタビューさせて頂きたいと時々やり取りさせて頂いていました。

また、ミライロの看板講師のお一人岸田さんにはインタビューさせて頂き、

その後も時々コミュニケーションをとらせて頂いています。

ですので、どちらも応援しています。

ただ、情報収集に熱心でこのようなブログを運営する私自身きちんと
レビューできるほどにはまだどちらのアプリも使いこなせていません。
操作についてもっと勉強する必要があります。

一車椅子ユーザーとして強く思うのは、ビデオのVHSとベータの規格争いのような事態

にならないで欲しいということ。

 

私はどちらにも利害関係がないのでハッキリ言えますが、ユーザーは便利になればどのアプリでもいいです。

であれば大きな旗の下に集まって両者のノウハウを生かすような連携ができないものかと思います。

もちろん、事業としてされてるのでそんな理想論だけでは済みません。

しかし、分かりやすい情報が集約され、私たちの行動範囲が広がることを切に願います。

 

と同時にどちらもユーザーからのいわゆるビッグデータを
整理するモノなので、私自身積極的に情報を提供
する主体として協力したいと思います。

投稿者プロフィール

島本 昌浩
島本 昌浩
バリアフリーチャレンジ!代表
challenged-view編集長