心構えとしては最悪を想定して、楽観的に行動する

私は車椅子で日常的に電車を利用しています。

最初はバリアフリールートや列車への乗降の手順等

知らないことばかりでしたが、行動範囲を拡げ、社会参加するために

積極的に乗る機会を作り、知らないことを減らしてきました。

 

それでも、初めての事に直面します。

そうなった時に慌てないように、日頃から様々な可能性を想像しておく

習慣が大切になります。

 

通常、列車の乗降は乗車駅で駅員に

介助を申し出て、ホームと電車との隙間を解消する

スロープをセットして頂きます。

 

更に、降車駅に降車位置を連絡して頂き、

降車駅で駅員が同様にスロープを用意して待っていてくれる

という流れです。

 

運良くこれまでこの連絡でミスが発生することはありませんでした。

 

しかし、先日初めて連携ミスが起こり、

降車駅にいるはずの駅員がいらっしゃいませんでした。

 

通常であれば、私は数秒で下車しますが、

自力で前輪を浮かせて下車するのは、電動車椅子では不可能。

仮に、手でこぐ自走式を私が使用していたとしても

片腕を使えない半身まひの身体障害者が

車輪を浮かせるのは困難だと思います。

 

ですので、私は車内で扉の外をきょろきょろ見回し、

駅員が来るのを待ちました。

しかし、一向に現われず。

 

自分で駅員を呼ぶのは不可能。

それにこの駅で降りる付近の乗客は

既に降りていてヘルプを求めるのも不可能。

 

この事態にも私はうろたえませんでした。

「人はミスをする生き物」と思って生きているからです。

実は以前からこの事態は起こり得ると想定し、

事前に、駅員に「こういうことって過去にありました?」

とリサーチして、あったことを確認していたのです。

 

更に、自分がその当事者になったらどうするか

対応策も考えていました。

そうなった時に電車が実際にどう動くかまでは知らなかったので、

ダイヤを優先して発車したら、

①諦めて終点まで行く。

②終点で親切そうな人に事情を話し、

乗務員か駅員に伝えて頂くと決めていました。

 

さて、このように決めていたので、

私の関心は電車が発車せず、停車していることに移っていました。

 

毎度のことではないので偶然ですが、

私は最後尾の車掌がいる車両にいたため、

キョロキョロしている私に車掌さんが気付いて

降りてきて、声をかけてくれました。

 

しかし、この時改善した方がいいと思う対応が二点ありました。

批判だけして建設的提案を書かないのは無責任なので

提案とセットで書きます。

車掌さんは私にこの駅で降りることを確認した後、

①「降りるのは無理ですか?」と尋ねました。

→降りられるなら自力で降りているという推測が難しいにしても、

電動車椅子というのが見れば分かり、

電動の場合、単独下車はできないくらいの知識は持っていて欲しいです。

つまり、乗務員はそれくらいのレベルの知識を備えられるような

社内研修を受けるように方がいい。

 

更に、問題だと感じたのは、公共交通機関の従事者として

この行動の順序はどうなのかです。

 

電車に遅れが出ている以上、状況を他の乗客に正確に知らせること

を優先すべきではないでしょうか?

結果的に車掌さんはまず私のところに来て、

やりとりをして無理と分かると、

駅員を呼びにいきました。

 

駅員が来るまでも時間がかかったので、

少なく見て2分以上電車は停まっていました。

 

さすがにこうなると、車内の乗客もざわついてきます。

車掌が駅員を呼びに行き、駅員が来るまでの間に

②運転士がようやくアナウンスしたのですが、

その内容に首をかしげました。

 

「車椅子のお客様が降りるので発車まで少々お待ちください」

という主旨でした。

これ以上のことはおっしゃらなかったので、

同じ車両の乗客の方は当然のように私を見ます。

 

私は待つしかない身なので、気になりませんでしたが、

人によっては嫌な思いをする状況です。

 

今回の件は私に非は全くありません。

よって、この場合のアナウンスは以下のようにして頂きたいです。

→「お待たせして申し訳ありません。連絡ミスがあり、

車椅子のお客様の下車に時間がかかっております。

只今駅員が対応中ですので少々お待ちください」

まず待たせていることに対してのお詫び。

そして、自分たちの側のミスという事実説明。

 

乗務員がミスかどうかを確実に知ることはできませんが、

通常滞りなく下車できるように運用されている訳ですから、

それが上手くいっていないのは自分たちのミスという前提で

アナウンスした方が企業イメージも傷つきにくいのが日本の文化だと考えます。

 

最後に、連携ミスが発生したというのが

最大の問題なのは言うまでもありませんが、

駅員一人で運営している駅が結構多いので

ここを声高に糾弾しても無益です。

 

これは単純ミスなので、再発防止のために

運用フローを再点検して、受けた連絡を

駅員が頭の中だけで把握しているのなら、

それを目立つようにすぐに掲示して見える化する。

あるいは、すぐに入力して到着前に音が鳴るようなシステムを

人員の少ない駅には導入する等考えるべきです。

 

人件費をカットしているから起こる話なので、

「公共」交通機関を運営するなら、

駅員を増員できるのがベストですが、しないならば、

経営者はせめてこれくらい投資して欲しいです。

 

こういうアクシデントがあっても、

社会参加したい以上、私は外出し続けます。

 

人はミスをしますが、想定しておけばリスクは減らせます。

また、そういう心の準備をして動けば何とかなるものです。

「へぇ。そんなことがあるのか」と

同じような立場のチャレンジドの参考になるような体験を

私はシェアし続けます。