福祉制度と繋がれるのはありがたいと自覚すべし
1.将来のことを考える視点を持つこと
私は23歳で退院してから専門家の助言を受けて
動作を工夫し、福祉用具を活用して
現状
独力で入浴することができます。
それでも現在週に1回介助に来て頂いています。
介助してもらおうと考えた直接の理由は、今の身体能力は確実に衰えるので、
それに備えて早い内に少しずつ介助してもらう
事に慣れた方がいいと判断したことにあります。
私自身は入院期間中に入浴の介助は受けていましたし、
抵抗は全くなかったのですが、私の担当ヘルパーの方
から「これまでずっと1人でされてきた部分に
他人の手が入るので、抵抗感もあると思いますが、
気になることはおっしゃってください」と初回に
言われました。
また、もうすぐ40歳になり介護保険の2号被保険者になる
タイミングなので踏み切れた面もあります。
とはいえ、これまで1人でやってきた部分をあえて介助に頼る選択を
私のようなどちらかと言うと自立心の強い人間が
いきなりできるものではありません。
後押ししてくれた人とのご縁がありました。
福祉専門職の方から「あなたの場合、
制度を活用していった方が長期的に
人生を見据えた場合いい」と言われ、
説得力があったので実行しました。
不要ならやめればいいと思えたのも大きかったです。
それと、片手が使えないので
しっかり洗えていない部分があることを
美容院で指摘されたと言う現実的な問題もあります。
結論を言うと、利用するチャンスがあれば、
体験的にでも福祉サービスは利用してみるのがいいと思います。
ただし、4.に記載する実状があるので利用ありきで
人生設計をするのでなく、状況に応じて利用させてもらうという
スタンスが良いと考えます。
2.担当ヘルパーとのコミュニケーション
この項目について書く前提として、
ヘルパーさんのサポート内容について。
私が主にして頂いているのは洗髪と洗体の手伝いで、
私の使える右手では届かない部分を洗って頂いています。
髪を洗う時は私も自分で右側を中心に洗いながら、
同時に左側を洗って頂いています。
このスタイルは私がこうして欲しいとオーダーしました。
利用に当たっては、自分のできることとできないことを
明確に把握する
そして、できないことの内どの部分をどういう形で
手伝ってもらいたいのか、伝えられることが大切です。
さて、このような形で介助が行われていますが、
様々な会話をするようにしています。
私がお世話になっているヘルパーさんは
年下の男性です。
入浴介助は同性が行うのが原則というのがあるそうです。
サービス利用に当たり、私は「担当は誰でも構わないです」
と申し上げました。
現場の男性ヘルパーは少ないそうで、
人員のやりくりの面で「そう言って頂けると助かる」
とサービス提供責任者の方が実状を教えてくれました。
ちなみに、女性の場合、若くても子育てが落ち着いたくらいの
年齢の方が多いらしいです。
で、来て頂いている方とは週に1回1時間だけですが、
色々順序も考えて、私自身自己開示しつつ、
相手のことを知っていっている最中です。
お互いの情報共有が進むにつれて、
介助もスムーズになっているので、
信頼関係を築くために、相手の仕事、
と任せずに自ら積極的に会話した方がいいです。
3.コーディネーターとのコミュニケーションは最重要
私は現在障害福祉サービスという制度の中の
居宅介護というカテゴリーで、このサービスを利用しています。
制度的にこのサービスを使うには、
・認定調査という生活に関わる能力などを多岐に渡り測定する
聞き取り調査を受け、障害支援区分の認定を受ける。
・相談支援事業所でサービス等利用計画を作成してもらう
(自身でどのサービスをどういう形で使うかまとめて
セルフプランの形で行政に申請することも可能)
・実際にサービスを提供してもらう事業者と契約を締結する
上記の3項目を順不同、同時並行で行い、3つが揃い、
行政から受給者証が発行されていれば、
公費によってサービスが受けられます。
この中で相談支援事業所というのがあり、
そこに所属する相談支援専門員という、
介護保険制度で言うと、
ケアマネージャーのポジションに当たる、
障害福祉サービスにおける司令塔の役割を担う
専門職の方がいます。
この職種の方と信頼関係がキチンと構築できるか、
が最も大切だと感じています。
こちらのニーズを反映した計画を立案し、
ニーズを満たす事業者を紹介するというのが建前だと思います。
私のケースでは私のニーズとズレたプランが出てきたので修正を
するという手間が生じました。
私は現状独力で入浴自体はできる。
ただ、障害の関係で洗いにムラが生じており、
外に出て行く上でちょっとした引け目になるので
この部分をカバーしてもらうために入浴介助に入ってもらいたい
とはっきり伝えました。
すると私の意向ではなく、
福祉業界内でのいわゆる「忖度」なのか、
週に2回利用する計画が出てきました。
利用回数が増えれば、当然サービス提供業者の売上になりますし、
おそらく間でコーディネートした相談支援事業所にも何らかの
メリットがあると考えられます。
その種の構造はある程度想像できるので、
必要以上に利用することを回避して、
計画を週1回にしました。
私のようにはっきりモノが言えるタイプの
人でなければここは修正無しで通ってしまうと思います。
その意味でこのポジションにいる専門職とは、
密接にコミュニケーションがとれるようにしておく事が大切です。
しかし、対人関係ですから、相性の問題はあります。
無理をして相性の悪い人に担当してもらうのは、
お互いにとって不幸だと思います。
その際は相談支援の契約を解除して
違う事業所を探すという道も
排除しない方がいいと私は考えています。
ちなみに現在、週に1時間の利用でも、
私の入浴介助には月額3万程度かかっています。
4.利用者は自己負担がなくてもいくらかかっているのかに関心を持つべき
前述の3万円のうち、自己負担額はなんとゼロです。
全て税金でカバーされます。
所得金額によっては、自己負担が出てきますが、
基本的に障害福祉制度は利用者に手厚く設計されていると感じます。
他方で利用者数がかなり多くなる介護保険制度は自己負担1割があり、
残りが税金と保険料で賄われているというのはご承知の通りです。
自己負担の差があり、障害福祉サービスから介護保険に移行すると、
サービスの利用を手控えるという問題もあるようです。
この問題の核心は自分が受けているサービスにいくらのお金が
かかっているのか、という部分に無関心である利用者が多いことです。
1ヶ月の利用実績と金額を記載した書類を
サービス提供責任者の方から交付された時、
「ほとんどの方はご覧になってないみたいですけど、
渡す決まりなので」
とおっしゃっていたことが雄弁に事実を物語っています。
私は隅から隅まで目を通しました。
障害認定を受けられずに制度の狭間で大変な思いをしている
難病患者の方などがたくさんいらっしゃいます。
利用者は福祉サービスを利用させて頂けることにまず感謝する。
更に、財源に限りがある以上、制度の持続可能性の点から
「自己負担なしだから、使えるだけ使う」
という意識が利用者にあるなら、個人的には同意できません。
また、業界側にも稼げるところで稼ぐということで
野放図に利用機会を拡大すれば、
人手不足の現場の疲弊を加速させます。
「サービスを必要とする人に適正量のサービスを」
という理想的な運用に近づくように
一利用者として私は現場の人に投げかけ、このような情報発信も続けます。