車椅子生活者は外出に慣れることでストレスを軽減できる。 社会の側は車椅子の人から様々なことに気付く

1.車椅子生活者は外出するだけで社会の空気を肌で感じることができる

今年の夏以降ライフスタイルを変えたこともあり、
私自身車椅子で外出することが多くなりました。

はっきり言って、なんでもっと早く
こうしなかったのかという反省はあっても、
悪いことは一つもないです。

情報発信をする者として、
もっとも良かったと思うのは、
車椅子で風を切ることにより、
物理的に風を感じるだけでなく、
社会全体の空気を肌で感じられていることです。

街で出会うほとんどの人は、車椅子の私に気付くと、
できることがあればサポートをしようと
意識してくれていると思います。

エレベーターでは必ずと言っていい程、
先に乗せてくれようとします。

電車の乗降の際もスロープが設置されるのを見ると、
待ってくれようとします。
(後述しますがこの場合、私はただ厚意に甘えず、
お礼だけ伝えて、先に乗り降りして頂くように努めています)

2.車椅子生活者は外出時自分が周りに与える影響に敏感であることが大切

前述したように車椅子生活者に対して、ほとんどの方は寛容に接してくださいます。
しかし、私は多様な人が生活する実社会において、
無条件にそこに甘えていればいいとは思いません

車椅子で外出している自分がどのように行動すれば、
他の方々にとって、公共の場所の居心地がより良くなるか、
について自覚的であるべきです。

例えば、次の写真は、私がよく利用するある駅の
改札からホームに向かうためのスロープから
ホームを写した写真です。

車椅子は電車の到着をどこでどのように待つのが
適切だと思いますか?

駅員さんからは「スロープを上がったところでお待ちください」
といつも案内されます。

降りる駅との連携があるので指定の乗車位置
から離れるのはNGです。

これから述べることはは私見であり、
個人差もあるので正解ではありません。

私はスロープを上りきった黄色の点字ブロックが途切れる付近に
いるようにはしますが、ちょっと変わった状態で待機
するようにしています。

視覚障害者がスロープ側から来る可能性を
考慮しているからです。

自分の効率を考えれば、
左側の線路の方を向いて待っているのが普通です。

でも、私がその向きになると、後遺症の影響で
左側の視野が狭く、写真手前のスロープ側からの
人の接近に気付きにくくなります。

白杖を使う人は杖で音を出すとはいえ、
慣れた人だと急に近づいてきて私が回避できず、
ぶつかって相手が痛い思いをするかも知れないです。

よって、私は点字ブロックがきれた少し先まで行って、
方向転換して、写真手前のスロープの方を正面に見て
待機しています。

これなら、誘導ブロックに沿って、視覚障害者が来たら気づけますし、
警告ブロックで場所を把握されていて
仮にそのまま直進してきても回避できます。

私自身は駅員さんと電車接近のアナウンスが揃ってから、
乗車位置まで動けば十分です。

もう一つ、例を挙げます。
今まで必要性がなかったので、
無理してラッシュの時間帯に
電車に乗るのは避けていました。

が、先日、出かける用事があり、
ラッシュアワーの駅構内を移動しました。

ラッシュアワーの駅は別世界でした。

1人急いでいた方とと接触してしまいました。
ラッシュ以外の時間と比べて明らかに皆さんに余裕がなく、
周りを見ていない人の率が高いです。

接触の主な原因は立って歩行する人と車椅子の目線との違いにあります。
立っている人からすると車椅子は死角になります。

普段は一切使っていませんが、
存在を知らせるために、
ラッシュの駅では車椅子の警笛を
使う必要があるかも知れないと感じました。

使うことで別のトラブルが発生するリスク
があるので、ここは注意深く検証していきます。

このように自分の存在が周りに及ぼす影響を
キチンと捉えておくことが
極めて大切
だと思います。

ついでながら、人によりうれしいかどうは分かれるでしょうが、
車椅子で出かけると顔見知りの人がやたら増えていきます。

それくらいよく話しかけられますし、
覚えてもらえます。

3.社会の人は少数派の車椅子生活者に関心を抱くことで得られる情報がたくさんある

2.で車椅子生活者側から社会を見た場合について記しましたので、
今度は逆のベクトルを考えてみます。

すなわち、社会が車椅子利用者に向ける視線です。

総じて、車椅子の私に対して親切にしてくださるというのは、
前述した通りです。
ただし、私は全ての親切をそのまま受け取る訳ではなく、
社会全体にとって、より良いと私が考える形を提案します。

例えば、電車の乗降時、
だいたい私は真っ直ぐ進めば乗降する扉のある位置から
少し離れて待機しています。

乗降時に駅員さんが即座にスロープをセットしてくれる場合は、
私が早く乗降した方が皆にとってスムーズです。

周りの方も「お先に」という感じで温かく待ってくれています。

しかし、停車位置がズレたり、急いで乗降される方が何人かいて、
その他の人は私に先に乗降してもらおうと待っている
分裂状態になる時があります。

この時は待っている人達が私に乗降するよう促しますが、
スロープが渡されると、扉の半分くらいの幅がふさがれ、
スロープが片付けられるまで健康な人が乗降しにくい状況になります。

ですので、このケースでは、「安全のためにゆっくりした方がいいので
お先にどうぞ」と先に動きやすいようにお声掛けするようにします。

先日初めてした経験をもう一つ紹介します。
私がスロープを渡してもらって、
乗車しているのをご覧になっていた男性が
駅員さんに「この介助は彼みたいに自分で動かす車椅子でない場合、
押してもらえるの?」と質問されていました。
(全国全ての電鉄に当てはまるかまでは不明ですが、
少なくとも私のよく利用する阪急電鉄では
介助して頂けると私自身確認済みです)

同じ電車に乗ったその方とお連れの方の会話が聞こえてきたのですが、
何でも足の不自由な奥様を連れて旅行したいとか。

私のような車椅子利用者が街でどのように動いているか、
見ることで他の方々が気付ることはたくさんあるのです。

4.自分自身について自覚的でありたい

最後に、繰り返しになりますが、
車椅子利用者が街にいることで
社会に良い影響を与えられます。

また、積極的に行動することで
外出に伴う自身のストレスも軽減されます。

大切なのは、私達車椅子生活者自身が
その事を自覚して行動していくことです。