今回は電動車椅子にスポットを当てて、ポイントを解りやすくかつ役立つ部分は生々しく書きます。
電動車椅子導入にあたり、皆様と共有する価値のあるポイントは、大きく分けると3点あります。

残存身体能力との兼ね合いで「長期的」な視点で導入を検討する

私の場合は電動車椅子の導入が最適でした。

これは私の目指す移動スタイルと移動能力を踏まえた判断です。

私は頑張れば30分以上杖をついて歩けます。
それでも購入当時は状況に応じて手でこぐタイプの車椅子(以下自走式車椅子)
を使用していました。

手でこぐといっても、麻痺している左半身は使えないので
右手と右足でこぎます。

私の運動機能は片麻痺の車椅子利用者の中では高い方です。

このことにより、リハビリに執着心が出ました。

この執着心が結果的に、電動車椅子のスムーズな導入を阻害したと言えます。

「そんなに歩けるなら車椅子なんているの?」
と思われる方もいらっしゃるかと思います。

以下のようなことがあり、必要となります。

公共交通機関を利用して広範囲の移動をするには、
バランス感覚と持久力が不可欠です。

電動車椅子のある現在も遠出の際は、
時々父に車の運転のサポートを頼んでいます。

車の運転が自分でできれば、移動の「自立」にかなり近づきますが、
私には脳の手術をした影響で症候性てんかんの発作があります。

自動運転技術の進歩に期待して免許の更新はしていますが、
人を巻き込む事故リスクがある以上、
現状において
倫理的に運転はしないと決めています。

ですので、車椅子で公共交通機関に乗り込めば
行動範囲が広がるというのが結論です。

ただ、片麻痺の私が公共交通機関と自走式車椅子を使って外出するのは、
能力的にハードルが高いので
、最適な手段が電動車椅子となる。

具体的には、当時所有していた自走式車椅子に
電動ユニットを搭載する方法と
新たに電動車椅子を1台購入する
2つの選択肢があります。

唯一の検討基準は、安全性とデザインなどを
トータルで考慮したコストパフォーマンスでした。

電動車椅子はスタイリッシュなモノだと
50万円するレベルの買い物です。

出費を抑えるために

この点については私が犯した失敗の話を繰り返ししなくてはなりません。

要件を満たせば、一定の補助金が車椅子購入に際して出ます。

結論から言うと、その要件をクリアできなかったのです。

兵庫県内で言うと、神戸市以外の市町村の住民(政令指定都市かどうかが基準)は、
兵庫県立身体障害者更生相談所で希望する車椅子等を使う条件を満たすかを
主に身体機能面から判定されます。

つまり、ここで審査にはねられれば補助はなし。

事前に車椅子の販売店の方から兵庫県は特に判定が厳しいと聞いていて、
「島本さんの身体機能で電動分の補助が出るとは考えにくい。
可能性があるとすれば、仕事でどうしても電動が必要という

必要性で押すしかないと思います」
とアドバイスを受けていました。

 

判定医が色々診る訳ですが、私は身体機能の審査で
芝居を打つような気はなく、必要性の論理で押しました。

更に、この車椅子のための補助を、ということで、
対象車に試乗しているところをじっくり観察されます。

片麻痺で働くという事情から必要性については認める
ということになりました。

しかし、身体機能については、販売店の方が「概ねここで決まる」
と言っていた歩行ではなく、
私に視野の左半分を見落とすことのある
半側空間無視の高次脳機能障害があると正直に自己申告した時点で

即座に「あなたに電動車椅子の補助金は出せない」
となりました。

歩行能力に注意と言われていたことで私自身これを言うと
不利と言う意識が皆無でした。

判定医曰く「溝などに落ちる危険性が高い」
と。

そのようなものに公費を出せない、
という論理はある程度理解できます。

その時は様々な項目を次々審査されてすぐに
「それはおかしい」
と抗弁ができなかったのですが、
よく考えるとこの論理は完全に破綻しています。

「溝に落ちるのが危ない」と言うならば、
私がその時点で乗っていた
自走式も同様に危険となります。

更に言えば、車椅子は道路交通法上歩行者。
私は10年以上杖歩行で積極的に外出してきました。
しかし、1度も転倒はおろか、
人とぶつかったことさえありません。

「あなたが電動車椅子に乗るのは危険だ」
と言うのは、
「あなたが外出するのは危険だ」
というのと同義になります。

ここまで言うならば「危ないから一人では外出しない生き方を目指してください」
くらい言うのが筋です。

無論、そんなことを指示できる権限はないので、
言えるはずもありません。

財政に余裕があれば別ですが、
なるべく公費の支出を抑える力が働くのでしょう。

私も不要なものに援助をお願いしている訳ではないので、
もう少し柔軟でもいいかなと思うところです。

結果、補助はないものの
私が電動車椅子に乗ることを規制する法的根拠はどこにもなく、

外出せずに生きていくつもりはないので、
少しでも費用と介助者の負担が
少なくなる
自走式に電動ユニットを搭載する選択を私はしました。

意欲のあるチャレンジドにとっての電動車椅子導入のメリット

端的に言って行動範囲が広げられるということ。

デメリットは必要とする気持ちがあるならほぼない(笑)。
あえて挙げると、価格が高いことと重量が自走式の倍くらいあるので、
車に積むのが難しくなるという点です。
とはいえ、前者は私のように公費助成で弾かれなければ問題になりません。

また、後者についても折りたたまずにそのまま乗せられる車がありますし、

スロープを用意して車に積むという工夫で対応はできます。
私はサポートも継続して受けながら単独での行動範囲を急速に拡大中です。