家庭療育の基本は、「わが子の分析」だとわたしは思っています。
【家庭療育】
ご家族(例えば、パパやママ)がお子さんと一つ屋根の下で暮らしながら、その中に療育的な要素をちりばめ、ムリなく、家庭を療育の場にすること
「どんな子で、なにができるか?」
「ナニに興味をもって、どんなことができるか」を家庭療育に取り組む前に考えます。
⇒前回参照「家庭療育に取り組む前に必ずしてほしい2つのコト」
「うちの子は、待つことができないの」と話されるママさんが多いので、今回は「待てない理由」を考えてみましょう。
わが家のヒヤリとした事件
数年前の出来事です。
車でお出かけするために玄関を閉めた、わたし。
当時は、2歳の長女と8か月の長男がいました。玄関のすぐ横は、階段です。
「先にお姉ちゃんを車に乗せるからここで待っててね」
当然、長男は一人で階段をおりるどころか立つこともできません。わたしは、階段の上で待っててくれると思っていたのです。
慎重派のお姉ちゃんは、わたしと手をつないがないと階段をおりられない時期でした。
8か月の長男は、どうしたと思いますか!?
まさかの笑顔でダイビング ジャーンプ!
わたしが気づいてとっさに受け止められたから事なきをえましたが、一歩間違えれば大参事でした…
では、なぜ「待つことができない」のでしょうか?
こんな言い方をしていませんか?
「ちょっと待って」
「すぐだから…」
わたしたちがよく使う言葉「ちょっと」や「すぐ」は、とてもあいまいな言葉です。
人によって「ちょっと」=1分だったり10秒だったりします。
あいまいさが苦手なお子さんには「あと5分」など具体的な数字を伝える事が有効です。
5分がわからないのであれば、「アナログ時計で【5】の数字までだよ」と伝ます。
有名なタイマーとして「Precious Time タイマー」があります。幼稚園でも使っているところもあるので、家庭でも同じものをご用意できるのであれば、使ってみるのも良いかと思います。
あとは、5の数字がわからないくらい小さなときには砂時計をつかっていました。頑丈そうな(笑)子どものお気に入りの色を買って「砂が落ち切るまで見ててね」と声かけをしていました。
小学生の今は、キッチンタイマーで時間管理をしています。
そもそも「待つ」を理解できていない
「待つ」には、これだけの意味があります。
1 物事・人・時が来るのを予期し、願い望みながら、それまでの時間を過ごす。また、用意して備える。「回復を―・つ」「駅で友だちを―・つ」「日の出を―・つ」「楽屋で出番を―・つ」
2 しようとする動作を途中でやめる。普通、相手に要求する形で用いる。「ちょっと、―・ちなさい」
3 相手の反応や態度がわかるまで静観する。「むこうの出方を―・って対処する」
4 (「俟つ」とも書く)それを頼りにしてまかせる。望みを託する。期待する。「良識に―・つ」「手腕に―・つ」
5 (「俟つ」とも書く)(「…をまたない」の形で)…するまでもない。その必要がない。「言を―・たない」[可能]まてる
コトバンクより
「どれくらい」待つのかわからない
「なにを」待つのかわからない
「どうして」待つのかわからない
そんな時には…
「待つ」を体験することで少しずつわかっていきます
この場合は、ママと一緒に「体験」してみましょう。
たとえば…ゲーム形式で教えたら、たのしいですよ♪
①今から「待て待てゲームをするよ」「やってみたい人?」と明るく誘ってみてください。
→ここで「はい」と言えば、シメシメです
(いやと言われた時には、ちがう機会にしてください。無理強いはNGです)
②パパが「上着をとってくるから、5分待つことできる人手をあげて」と言う。
③「待っている時になんと、なんとこんな遊ぶ特典が!あります」
→オーバーリアクション気味に待っている間でどんな遊びができるかを具体的に話します
何でも大丈夫ですが、選択肢を上げてください
(1)ママとこちょこちょ (2)ママと手遊び (3)その他…
必ずその他をあげてお子さんの気持ちを確認してくださいね
④ママとお子さんが一緒に「その場で何かをして時間をつぶす」(待機)をおしえる。
この時に「いつパパがくるかな?」「待つのってわくわくするね」など声かけをして
【待つたのしさ】【待つのをたのしんでみる】のをぜひ親子で味わってください
(言語化や想いを伝えることは「たいせつ」なことです)
③パパが現れたときに「パパ来てくれて、うれしいね」「上手に待てたね」とほめる。
これを何回かくり返すと「待つ」ことを【体験】としてわかってくるようになります。
じっとしていることが難しいお子さんの場合
とは、言っても外で待ってもらうのはむずかしい場面もあります。
家で練習していても…外は「キラキラ」刺激の多い世界です。
特にわが家の場合、一番困ったのが【外食】
…注文すれば、すぐに食べられると思ってしまう
…いつ料理が提供されるか「見通しがたたない」
…横に食べている子がいる
…お腹が減って機嫌が悪い
待つことがとってもむずかしい状況です。
わが家でのうまくいった事例
意識を食欲から違うものへ切り替えてみました。
そんな時に大活躍したのが、カードゲームです。
特にわが家は「ドブル」にお世話になりました
このカードゲームの利点は、
- 1枚カードがなくなってもゲームをできる
- 持ち運びが可能
- 数種類の遊びができる
- カードの量を調整して遊び時間をコントロールできる
- 立ってても遊ぶことができる
です
幼児期には、電車の中で手遊びを「小さな声」でしてみたり
お外専用のストレス解消グッズや新しい絵本を用意したこともありました。
ママの声が届いていない
意外と盲点なのがコレです。
自分の作業に夢中で、そもそも自分が呼ばれていることすら気づいていないことがあります。
お子さんによっては人も風景の一部に見えていて気づかないこともあります。
こんな時には、
- 肩をとんとんする(さわられるのが苦手なお子さんは除く)
- お子さんの正面に立ってまず名前を呼ぶ。
→相手が(呼ばれていることに)気づいてから、話をはじめる
「そんな悠長なことが(時間がなくて)できない」と思われる方へ
わが家では、子どもを呼ぶときに同じ音楽をかけていたこともあります。
最後に…
最初は、1分待つこともむずかしいかもしれません。
10秒…5秒待つことから始めてみましょう。
「ボードゲームをする」か「絵本をよむ」か「その他」と選択してもらう。
「どうしたら待てるようになると思う」と本人と考える。
「いっしょに待つ」たのしさを経験しましょ★
★次回は、「声のおおきさ」のことについて書きます。おたのしみに♪