<編集長:バリアフリー代表 島本 昌浩
<発達凸凹ちゃん:りょう育ママの長男
実施日:2021年8月14日@Zoom

発達凸凹ちゃん当事者の長男と
頭脳明晰な車いすユーザーの編集長

今回の対談意図
  • 車いすユーザーの人は、どう生活しているのかを考えてもらう
  • 自由研究の「きっかけ」作り
  • 長女がヘアドネーションについての記事を書いたので、特性がちがう長男ことを知ってほしい(わたしの想い)

対談前に…

①事前に質問を考える

長男が編集長にどんな質問をするのかをいっしょに考えた
車いすユーザーをどう思うのか?
メリット・デメリットを考えてもらう
彼といっしょに考えた質問は、5つになりました

②インタビュー時間を教える

8/14 〇時~〇時です

早く終わることもあるし
長くなることもある

見通しを伝えるけれども
きっちりした時間で終わるわけでもないと伝えました

③挨拶をする

貴重な時間を使って、 インタビューしてくれるので
まずは、あいさつをして、お礼を言おうねと伝えておきました

④わたしと長男の距離を物理的に離す

わたしは、PCから接続
長男は、iPadからオンライン接続をしました

別々の部屋から話すことによって
本人の気持ちを素直に話してもらえることを狙いとしました

⑤わたしは、話をしない

補足や通訳はするけれども
基本的には、長男に自由に話してもらいました

⑥呼び名を決める

編集長が長男を呼ぶときの「あだ名」を決める
記事では、長男としておりますが
呼びやすいように「あだ名」を編集長へお伝えしました
そして、長男が編集長を呼ぶときは「島本さん」としようねと話をする
(編集長だと呼びにくいかと思い…💦)

ぶっちゃけトーク

最初は、自己紹介から

編集長:小学校何年生ですか?
–5年生です

編集長:好きな食べ物は?
–ラーメン

編集長:ラーメン?
まさか ラーメンがくるとは思わんかった

車いすユーザーの世界

長男:車椅子での仕事はどんな感じですか

編集長:どんな感じだと思いますか?こんなことしてると思います?

長男:なんだろう
えーっとねー 何?どんな感じだろ
答えるの難しいな

編集長:分かりました答えますね
車椅子に乗ってるって言う事は、足が不自由なんですね
だから 長男君と同じように自由にあちこち 動き回ったりするのが難しい身体です。
あっちこっち 動くのが難しいので机に向かって
パソコンとかを使って仕事をしています。

今の聞いて長男君はどう思いましたか?

長男: 車椅子での仕事は 車椅子使ってない人と
そんなに変わってなさそう

編集長: じゃあ、長男くんは車椅子 乗ったことあるよね

長男:広場で

編集長:え?

りょう育ママ:○○広場で乗ったことあるよね
電動の(車いす)

長男:なんか乗った
そのまま電車とか行けそう
自分一人でいけない
操作が難しい

階段がある時は…
—うーん
斜めでなんだろう
坂が柔らかいとこしか行けない

編集長:坂が柔らかいとこしかいけないです。
でも実際に 坂が 柔らかい所っていっぱいあるかな?

長男:そんなにない

編集長:じゃあ ぼくはどうやって会社行ってると思う?

長男:どう行ってるだろ
うーと…
電車で行ってる

編集長: そうですね
僕の住んでる 周りの場所も坂が急なところはあるんだけど
柔らかいところもあるから(道を)選んで駅まで行きます。
駅に行って、もし階段しかないとしたら
車椅子で階段を上るのは無理なので
今はほとんどの駅にエレベーターがついている
エレベーターだったら乗って二階とかいけるじゃない
車椅子でも進めるところを探して、行ってたどり着いてる感じ
長男君が普通に歩いて行くのと
車椅子で歩いて行くの どっちが時間かかかると思いますか

長男:車椅子かな?

編集長: どうして?

長男:分かんない

編集長: 今日は、分かんないなしで答えてください。
なんとなく 車椅子の方が大変な感じがした?

長男:なんとなく大変そうな感じがした

編集長: これは長男君が知らない事が一杯あって、
電動車椅子に乗ったことあるって言ってたけど
一番 スピードを出そうと思ったら
時速6キロ出せて 普通の大人が 早歩きするのと同じぐらいの早さで動けるんです

長男:はや!

編集長: だから実際に歩く早さからしたら
そこまで普通の人と変わるわけではない

車いすユーザーと凸凹ちゃん…
編集長が話をリードしてくれているので
オンラインでも会話が、とてもスムーズでした

バリアフリーについて

編集長: バリアフリーって分かる?

長男:バリアフリー
わかんない

バリアフリー(英: Barrier-free)は、対象者である障がい者を含む高齢者等が、社会生活に参加する上で生活の支障となる物理的な障害や、精神的な障壁を取り除くための施策、若しくは具体的に障害を取り除いた事物および状態を指す用語。

Wikipediaより

編集長: 車椅子とかが行けないような
障壁 って言うとちょっと難しいけど
長男君からしたら壁とか上るの大変じゃない
例えば、2階まで
階段でなく壁を登ってくださいって言われても怖いでしょ?

長男:無理。うん 怖い。

編集長: それと同じで車椅子で階段を登れ 言われても怖いし無理だけど
エレベーターがあれば登れる
長男君も階段があったりエスカレーターがあれば登れるように
設備が物が整っていれば、車椅子であっても
普通の人と変わらずに移動できる
このことを知っていれば自分がなんとなーく車椅子の人は不自由なんだ
と思っているのがなんとなく知らないだけで思い込みとわかるよね

長男: 思い込みで勘違いすることがある

編集長:うん、そうそう。
学校の中に車椅子乗ってる友達はいる?

長男:いない

編集長:全校でも全然いない?

長男:わかんない

編集長: これは情報として伝わってこない感じですか?

りょう育ママ:私は分かるんですけど…いないですね。
この子が通う学校の中では今のところ いない って言われてて
逆に車椅子の授業があったくらいです
コロナで 今のところ その授業 すらないって言う
バリアフリーを学ぶ場が今無いんです

編集長: 昔の福祉体験 みたいなのが無いわけですね。

りょう育ママ:そうですね。
今のところないので、実際に歩けない人がいたり寝たきりの人に
出会ったことはあるけれども お友達にはいないです

編集長: 近くで触れ合う機会がないってことですね。

りょう育ママ:そうですね。
今は…ほら あのコロナ禍だから、ふれあい自体が まずに禁止になってるので。

編集長:フィジカルで近くにいるかじゃなくて、
認知できる空間の中に存在があるかだけでも違うじゃない。

りょう育ママ:身近には、いないです。
その…車いすユーザーは、どちらかといえば特別支援学校の方を勧められます

編集長: 長男君、 学校は 何階建てですか?

長男:3階建てで屋上がある

編集長:エレベーターありますか?

長男:ありません

編集長:  施設的にもうちょっと 受け入れができない。
体育館が何階?

長男: 2階

編集長: 音楽室は何階?

長男:3階

りょう育ママ:移動教室があると…ちょっと対応が出来ないって感じですね

編集長: そもそも、そういう身体が不自由な子どもの学ぶ場が保障されていない。

りょう育ママ:うちの学校では、そうですね。

編集長:市内全域でみるとどうなんですか?

りょう育ママ:たぶん養護学校を勧められるかなと…

編集長:あー、そっか
親としてもずっと付き添って 移動教室ごとに階段をね
長男君ぐらいの重さの子を背負うっていうのは、なかなか難しいもんね
長男君、今 何 kgや?

長男:40 kg

りょう育ママ:子どもの体重 + 車椅子になると抱え上げるのは、物理的に難しい。
階段を上るにしても母親一人はなく、もう一人ぐらい必要になってきます。
また、公立小学校に入学する際には、特別支援学級の肢体不自由 クラスを開講するところから始めなきゃいけないんですね
保護者の付き添いは必須と言われることが多いです。
なので やっぱ その物理的に ちょっと難しい面はあるというのが現実ですね。

長男が、絶対聞きたかった質問

①車いすのいいところは、なんですか?

編集長: 車椅子の良いところね
体が不自由で生まれてくる人とか
事故とか病気で不自由になってしまう人がどうしてもいます。
そうなった時に自分の力で歩けるように
できればいいと思うけど
車椅子があれば歩けなくても移動ができるので
道具として必要。
健康な人にとっての車と同じで、車があれば遠い所に出かけられるじゃない?
健康な人が遠くに出かけるための道具として使うように
体が不自由な人が移動するために必要な物です

聞きたいことはあってますか?

長男: うん

編集長:納得した?

長男: 納得した

② 車いすの生活がつらくなったことありますか?

編集長:辛くなったこと…
そうだね
さっき階段があるとどうしても行きたくても行けない。
これ階段だとほとんど絶対いけないけど
もっと小っさい10cm とかの段差でも
乗り越えられなかったりするので
すぐそこに行きたい所があるのに
その段差があるだけで行けなくなってしまうっていうところで不自由さを感じる
これは辛いっていうところまでは僕はいかないけど、悔しい
じゃあ、長男君はそういう行きたくても行けない人を見かけたらどうしたいですか?

長男:助けたい

編集長:どうやったら助けられるかな?

長男: 他の道を探す。

編集長:うーん、いいね
長男君が、めっちゃ行きたいステーキ屋さんが 目の前にあります。
でも、10cmの段差が店の前にありました 。車椅子の人がどうしようって悩んで止まってます。
長男君はどういう風に声をかけますか?

長男: どうしたんですか?(と聞く)

編集長:ステーキ屋さんに行きたいんだけど段差で行けなくてどうしようかと思ってます
って言われたらどうしたらいいだろう

長男:お店の人に言って段差を
乗り越えるやつを用意してもらう

編集長:おぉおお、すごいな。
どんなのがある?

長男: 思った以上にある

編集長: どんなやつがあると思う?
段差を乗り越えられるやつ?見たことあるの?

長男:三角の台みたいな

編集長: 駅とかにあったやつ?駅員さんが出してくれるやつ?
なかなか合理的やね。君は
ちょっとびっくりした
それは1ついいと思う
上手く考え付いたと思うけど、それがなければどうしよう?

長男: うーん、どうしよう

編集長:どうしたらいいかな?

長男: どうしたらいいの?

編集長:長男君がコロコロで荷物を運んでいます
それが10cm ぐらいの段差でつまずいた時
コロコロを持ち上げれる大きさだったら持ち上げられるけど
三角のやつを持ってきてもらうようにお店の人に言うっていうのと違うことを言ってほしい

ちなみに、僕の車椅子は、僕が乗った状態でも男の人が3人いれば持ち上がります。

長男: 周りの人に助けを求める

編集長:僕のようなタイプの人だったら こういう風に
自分から直接お店の人に言っていうこともするけど苦手な人もいるから
代わりに伝えてあげるとか今すごくいい事で
家の物を持ってきてもらうとかいいアイデア
僕がヒント出したけど今それがないってなったら、
違う方法を考えてくれた。
持ち上げる事でなんとかなる
上がれないみたいなんで、段差乗り越えるために手伝ってもらえますか
みたいな感じで言ってもらえるとすごく助かります

~疲れたのか長男は、インタビュー中に少し眠くなりました~

編集長:今お店の自分以外の人に助けを求められない人が困ってたら長男君は
代わりに声をかけれる?

長男: うん、頑張る

編集長:どんな風に?

長男: 困ってる人を助ける。

編集長:どういう風にして?

長男: この人をこのお店に入れたので手伝ってください(とお店の人に言う)

編集長:通りがかりの人に言える?

長男: 勇気でない、それは

編集長:お店の人やったら言える?

りょう育ママ:お店の人と通りがかりの人は、どう違う?

編集長:あ、そこ 興味深いね

長男:うーんとね。
お店の人なら何か手伝ってくれそうだけど
関係のない人だったら やってくれなさそうだし なんか悪い人だったら怖いから

編集長:なるほどね。 この違いは面白いね

(質問の)紙まだ持ってる?

長男:持ってる

編集長:どれか聞きたい事ありますか?

長男:ない!

編集長:面倒くさくなったんやろ?

長男:ない!ない!ない!本当にない!

子どもから見た編集長の印象

りょう育ママ:今まで聞いた感じで 島本さんはいい人っぽい?

長男:何か困ってたら僕を助けてくれそう、

編集長:まさかの 感想
助けてもらいたいんだ

りょう育ママ:島本さんとは初めてオンラインで会うよね
島本さんどんな人だと30分話して思った?

長男:なんだろう
周りの… あの階段がある場所とかない場所とか知ってそう

りょう育ママ:性格はどんな人だと思いますか?

長男: 性格はどんな人か
優しそうです。
なんか分かんないところを一緒に考えてくれそう

編集長:考えるよー

車いすユーザーのイメージ


編集長:長男君は車椅子乗ってる人はどんな仕事できるっていうイメージがつきましたか?
どんな感じ?

長男:パソコンでいろいろ 資料を作ったりとかできる。

編集長: 学校に車椅子の子とか来れそう?

長男:うちの学校はたぶん無理

編集長:どんな学校だった来れそう?

長男:うんとね、階段ではなくちょっと斜めな道 みたいなところがある学校だったら行けそう。

編集長:え、じゃ、ずっと坂ってこと?学校の中も?

長男:階段のところがあるのと
道が斜めになって、階段じゃなく上に上がる手段としてあったらいいなと
さっき言ってたエレベーターじゃなくて 常に坂みたいにしといた方がいいってこと
エレベーターは電気代がかかって払うお金が多い

編集長:はい、その通りですね。

長男:じゃあ、普通の道とかも坂がいっぱいあれば
階段のところだけ坂になっていれば みんな過ごしやすい
でも、車椅子じゃない人がいるから階段のところも 必要

編集長: 両方あればいってことね
階段と坂が両方学校の中にあれば一緒に過ごせるって事ね
OK?

島本さんから長男への質問

編集長: 周りに車椅子の人がいないって中で
今日 車椅子に乗って生活をしている人と話すあんまりない機会だったと思うんだけど

長男:あんまりない
車椅子でずっと生活している人と話したこと全然ない

編集長:車椅子の人がいない環境で車椅子の人に話を聞くっていう事は、どんな感じだったか?
話してみてどういう風なことを感じました?

長男:車椅子でもいいところはいっぱいある

編集長:いいところ 車椅子でも良いとこいっぱいあるんやったら 5つ上げて

長男:足が疲れない

編集長:それなんか話す前から思ってそう
あと4つ。いっぱいってゆったやん。

長男:人が動かしてくれる時もある

編集長: 正しいな・・
あと3つ、だっていっぱいあるんでしょ

さっきそのステーキ屋さんの前で
声をかけようと思ったのなんで?

長男:困ってそうだから
助けてあげたいという気持ちになった

編集長: それは車椅子に乗ってる人から見るとどういうこと?

長男:助けられてる

編集長: まとめると、人にそうやって助けてもらいやすい
と言うところはいいところかな
健康な人だったら
素通りされるようなところでも
人がかまってくれたりっていう場面がある。

構って欲しくない人もいるっていうのも大切なんだけど。

りょう育ママ:長男が最初に言ってた「どうしたんですか?」 って声をかけるのが
一番ありがたいのかなって わたしは思いました。
どっちにもちゃんとその人の意志を大切にしようっていうの分かるので。

 

 

~長男は、インタビューのお礼を言ってから退出~

編集長✖りょう育ママの座談会


編集長:なんか聞いてたより手強くなかったけど
まあ 事前に打ち合わせは親子でしてるので、どんなこと聞くとか話はしてるけど
意外とクレーバーかと思った

りょう育ママ: そうですね
私とは違う発想をしてくれる人なので面白いです
あ、そう来たかって思うのは、いつもこの子なので

編集長:こういうZoomとか使ったことがあるんですか?

りょう育ママ:Zoomは オンライン学習で使ってるので 使い方はもう マスターしてるんですね

編集長: なんかこういう知らない人と話したりとかは、あんまりないかな?

りょう育ママ: 一方的に先生へ質問とかはするので
しゃべるって言えば しゃべるけど この大人だけの中でインタビューするっていうのが、なかったです
これを自由研究にしてみたら?みたいなことは伝えておきました

編集長:そういう意味では 研究 っていう言葉が出てきているのかなとは思いましたね
本当に面白いよ

りょう育ママ:でも 自由課題 だから やんないとも言われましたけどね

編集長:やらんのかい。

りょう育ママ: やってみたら?とは勧めました
お母さんがインタビューまとめるから、あんたはあんたでやりなさいよとは伝えてるので

編集長:面白かったですね
意外な答えが返ってきたかなとは思います
おっ!ていうところがありましたね
ちゃんと核心にいくっていう

りょう育ママ:なんだろう
準備体操なしに核心に行くタイプですね
いきなり飛んでるって感じです

最後に

約45分間のインタビューでしたが、途中で集中力が切れて脱線する場面もありました
編集長も小学生に話をするということで、普段よりもやさしく、ゆっくり、いろんなたとえ話をしてくれて話ができたように思います
対談前に見通しを教えたことで落ち着いていた感じでした

わたしとしても先生以外の知らない大人とマンツーマンでお話しする長男を見るのは、なかなかない機会だったので
快く引き受けてくださった、編集長に感謝しています♪

親子でコントしてるような感じでツッコミどころ満載 と編集長に評されるほど
面白い、わが家の親子関係が少しでもわかってもらえればうれしいです

★家庭療育については、こちらからお読みください
「どんな子で、なにができるか?」

「ナニに興味をもって、どんなことができるか」を家庭療育に取り組む前に考えます。
⇒前回参照「家庭療育に取り組む前に必ずしてほしい2つのコト

投稿者プロフィール

りょう育ママ
りょう育ママ
3人の発達障害児(凸凹ちゃん)を育てるママ。
育児についてのリアル話や凸凹お役立ち情報をBLOGで発信★

「あつまれ!凸凹ちゃん」主宰
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